「心理学部の小論文の書き方が分からない」「どんな視点で書けばいいの?」そんな悩みを抱えていませんか?
心理学部の小論文は、心理学的知見を活用して社会課題を分析し、論理的な解決策を提示できれば、合格につながる説得力のある文章が完成します。
本記事では、心の問題を社会に応用する視点から頻出テーマの攻略法、時事問題の心理学的分析方法、そして実際の例題と解答例まで、あなたが「書けない」から「書ける」に変わる心理学部小論文の書き方を詳しく解説します。
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心理学部の小論文の書き方
心理学部の小論文では、心理学的な知見を活用して社会課題を分析し、解決策を提示する能力が求められます。
単なる知識の暗記ではなく、理論と実践を結びつける論理的思考力が重要です。
小論文の基本
心理学部の小論文を書く前に、以下で小論文の基本について改めて確認しておきましょう。


心の問題を理解し、社会問題への応用
心理学部の小論文において最も重要なのは、個人の心理的問題を深く理解し、それを社会全体の課題解決に活かす視点を持つことです。
現代社会では、いじめ、不登校、高齢者の孤独感、職場のメンタルヘルス問題など、様々な心理的課題が社会問題として表面化しています。これらの問題を単純な現象として捉えるのではなく、背景にある心理的メカニズムを理解することが求められます。
具体的には、傾聴、受容、共感といった心理学の基本的なアプローチを用いて、問題の本質を見極める必要があります。
例えば、いじめの問題であれば、加害者と被害者双方の心理状態を分析し、社会環境や人間関係の影響を考慮した包括的な解決策を提案することが重要です。
このように、心理学の専門知識を社会問題の解決に応用する能力を示すことで、臨床心理士や公認心理師といった将来の職業への適性をアピールできるでしょう。
頻出テーマから考える
心理学部の小論文では特に出題されやすいテーマが存在するため、これらの理解を深めることが合格への近道となります。実際の社会問題と関連づけながら学習を進めていきましょう。
頻出テーマ
- 発達心理学
- 臨床心理学
- 社会心理学
- 教育心理学
心理学部の入試では、発達心理学、臨床心理学、社会心理学、教育心理学の4分野が特に頻繁に出題されます。
発達心理学では、人間の成長過程における心理的変化を扱い、エリクソンの心理社会的発達理論など基本的な理論を理解しておく必要があります。
臨床心理学は心の問題を解決する学問で、認知行動療法や精神分析療法といった治療法について説明できることが重要です。
社会心理学では、アッシュの同調実験やミルグラムの服従実験などの古典的研究と、現代社会への応用を理解しておきましょう。
教育心理学では、バンデューラの社会的学習理論やピアジェの認知発達理論が頻出です。
これらの分野について、単純な暗記ではなく、現代社会の具体的な問題にどう適用できるかを考える力が評価されます。
社会の出来事を心理学的に考える
心理学部の小論文では、時事問題を心理学的な視点で分析する能力が重要視されています。
日常的にニュースや社会現象に触れ、それらを心理学の理論や概念と結びつけて考える習慣をつけることが必要です。
例えば、SNSでの炎上現象を集団心理や同調圧力の観点から分析したり、高齢社会における孤立問題を発達心理学や社会心理学の視点で捉えたりすることができます。
このような分析を行う際は、単なる感想や一般論で終わらせず、具体的な心理学理論を根拠として用いることが求められます。
また、問題の多面性を理解し、複数の心理学的アプローチから検討することで、より深い洞察を示すことができるでしょう。
日頃から心理学的な思考を働かせる練習を積むことが、小論文の質を向上させる鍵となります。
このように社会の出来事を心理学的に考えると、今まで不可解だったと思える人の言動にも理解できたり、興味深い事実が浮かび上がるかもしれませんね。
おすすめの本を読んでみる
心理学のおすすめ3冊
- 河合隼雄『こころの処方箋』
- 岸田秀『ものぐさ精神分析』
- 中井久夫『徴候・記憶・外傷』
心理学部の小論文対策には、良書を読むことが非常に効果的です。
特に河合隼雄氏の『こころの処方箋』は、1テーマ4ページの読み切り形式で、心理学の本質的な考え方を学べる名著です。
この本は入試でも頻繁に題材として使用されるため、必読書といえるでしょう。
また、岸田秀氏の『ものぐさ精神分析』は、精神分析への入門書として多くの人に心理学への関心を抱かせた古典的作品です。
より専門的な内容を求める場合は、中井久夫氏の『徴候・記憶・外傷』がおすすめです。
PTSD(心的外傷ストレス障害)に関する考察は、現代社会の心理的問題を理解する上で非常に参考になります。
これらの本を読む際は、ただ内容を理解するだけでなく、著者の視点や論理構成を分析し、自分なりの考察を加える姿勢が重要です。
良質な文章に触れることで、論理的な思考力と表現力の両方を身につけることができるでしょう。
例題と解答例
心理学部の小論文対策では、実際の出題パターンを理解し、解答例を参考にすることが重要です。典型的な問題形式と解答のポイントを確認していきましょう。
例題1
【問題】SNSの普及により若者のコミュニケーション能力が低下していると指摘されることがある。この現象について心理学的な観点から分析し、あなたの考えを述べなさい。
(解答例)
SNSによる若者のコミュニケーション能力低下は、発達心理学と社会心理学の複合的な問題として捉える必要がある。青年期における重要な課題は対人関係の構築と社会的アイデンティティの確立であるが、SNS環境がこれらの発達に与える影響は両面性を持っている。 従来の対面コミュニケーションでは、相手の表情や身振り手振りから相手の感情を読み取る能力が自然に育まれてきた。
だが、テキスト中心のSNSコミュニケーションでは、非言語的な情報が欠如し、共感能力や感情理解能力の発達が阻害される危険性がある。また、SNSでは自分に都合の良い情報のみを選択的に発信できるため、真の自己開示や相手との深い関係構築が困難になる場合も見受けられる。加えて、SNSの即座に反応を求める環境は、熟考する時間を奪い、衝動的な発言を促進する傾向にある。この結果、相手の立場に立って考える能力や、慎重な言葉選びといった重要なコミュニケーションスキルが十分に発達しないまま成長してしまう若者も存在する。
しかし、この現象を単純にマイナス面のみで評価するのは適切ではない。SNSは地理的制約を超えた多様な人々との交流を可能にし、内向的な性格の若者にとっては重要なコミュニケーション手段となっている。同じ趣味や関心を持つ仲間とのつながりを築くことで、リアルな対人関係では得られない安心感や所属感を獲得できる場合もある。 そして文章の行間から相手の考えや状況を読み取る能力を養うことも期待できる。
問題の本質は、SNSの利用の仕方にあると考えられる。対面コミュニケーションとSNSコミュニケーションをバランス良く活用し、それぞれの特性を理解した上で適切に使い分け、単に情報に踊らされるのではなく最終的に自ら考え判断することが、真のコミュニケーション能力向上につながるだろう。(742字)
例題2
【問題】近年、高齢者の孤独死が社会問題となっている。この問題を発達心理学および社会心理学の観点から分析し、対策を提案せよ。
(解答例)
高齢者の孤独死は、発達心理学におけるエリクソンの発達段階理論の最終段階「統合対絶望」の危機と深く関連している。老年期の発達課題は人生を振り返り、意味を見出すことであるが、社会的孤立はこの課題達成を困難にし、絶望感を増大させる。また、社会心理学の観点から見ると、現代社会における地域共同体の希薄化が高齢者の社会的ネットワークを狭め、孤立を促進している。
孤独死の背景には、配偶者との死別による愛着関係の喪失、子どもの独立による家族機能の変化、身体機能低下による社会参加の減少などが複合的に作用している。特に、愛着理論の観点から見ると、長年連れ添った配偶者の死は安全基地の喪失を意味し、高齢者の心理的安定を著しく損なう。さらに、退職による社会的役割の終了は、自己効力感の低下を招き、社会との接点を失わせる。これらの要因が相互に影響し合い、高齢者の社会的孤立を深刻化させる悪循環を生み出している。
この対策として、まず地域レベルでの見守りシステムの構築が重要である。定期的な安否確認や近隣住民との交流機会の創出により、高齢者の社会的つながりを維持する必要がある。また、高齢者自身が生きがいを感じられるよう、これまでの人生経験を活かした社会貢献活動への参加を促進することで、統合感の獲得を支援できる。さらに、世代間交流プログラムの実施により、高齢者の知識や経験を若い世代に伝える機会を設けることで、社会における存在価値を実感させることが可能である。
またいくら施策を打っても、高齢者に自ら動いてもらうようにしなければ長続きしないので、その人の適正に沿ったプログラムを構築して実施することが必要だ。このような包括的なアプローチにより、高齢者の孤独死を予防し、尊厳ある老後の実現を目指すべきである。(740字)
例題3
【問題】学校現場におけるいじめ問題について、教育心理学および社会心理学の知見を用いて分析し、効果的な予防策を論じなさい。
(解答例)
いじめ問題は、バンデューラの社会的学習理論と集団心理学の観点から理解することができる。子どもは周囲の行動を観察し模倣することで学習するため、攻撃的な行動を目にした場合、それが正当化される環境では同様の行動を示す可能性が高まる。また、集団の中では個人の責任感が希薄化し、普段は行わない行動を取ってしまう「責任の分散」現象が生じやすい。さらに、ミルグラムの権威への服従実験で示されたように、権威者の存在や集団の圧力は個人の道徳的判断を歪める可能性がある。
いじめの発生には、学級集団内の権力構造や同調圧力が大きく影響している。支配的な生徒が存在する環境では、他の生徒がその行動に同調し、いじめが集団現象として拡大する傾向がある。被害者となる生徒は、しばしば集団から逸脱した特徴を持つとみなされ、排斥の対象となりやすい。この現象は社会的アイデンティティ理論で説明される内集団優位性と外集団への偏見が学級レベルで現れたものと考えられる。加えて、傍観者効果により、いじめを目撃した生徒も積極的な介入を行わず、結果的にいじめの継続を許してしまう構造が生まれる。
この効果的な予防策として、まず学級全体の人間関係を改善する取り組みが必要である。協力的な学習活動や異なる特性を持つ生徒同士の交流機会を増やすことで、多様性への理解と受容の態度を育成できる。
また、教師は積極的な介入により、いじめを許さない学級風土を確立する必要がある。具体的には、明確なルール設定と一貫した指導により、攻撃的行動に対する社会的承認を排除することが重要である。早期発見のためのシステム構築と、被害者への適切な心理的支援も不可欠である。さらに、加害者に対しても単なる罰則ではなく、共感性を育む教育的介入を行い、根本的な行動変容を促すべきである。(750字)
上記を参考に、志望先の大学の過去問を入手して、実際に書く練習をしていきましょう。
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