「教師として」を意識する、教員採用試験での小論文の書き方

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小論文の学習法

教員採用試験の小論文の書き方が分からず、何から手をつければいいか迷っていませんか。

教員採用の小論文は「型」と「教育への理解」を示せるかどうかが合否を左右します。

本記事では、採用担当者が評価するポイントから、教員採用試験の小論文の書き方の基本構成、キーワードの使い方、実践的な対策法まで解説します。

例題と解答例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

教員採用試験の小論文対策

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この記事を書いた人
飛田 弘一

小論文の独自研究家・指導者。

Amazonにて400部突破『小論文の手引き』の著者。

大学卒業後、書籍の誤字・脱字を確認する校正の仕事を経て、学生時代に小論文がまったく書けず受験で悔しい思いをした経験から、書店の小論文の参考書は延べ100冊以上を読み、また小論文の講座を30以上受講するなど、小論文の独自研究に没頭する。

そこで得た知見から、誰でも実践できる分かりやすい小論文の書き方を構築。

小論文が書けない人の気持ちを誰よりもよく分かる指導者を自任し、決して上から目線にならない丁寧な小論文の指導を心がけている。

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教員採用で求められる文章

教員採用試験の小論文では、一般的な作文と異なる視点が求められます。

採用担当者が何を評価しているのかを理解したうえで、文章を組み立てることが合格への近道です。

国の教育方針の理解

教員採用試験の小論文では、国の教育方針をしっかり把握していることが前提となります。

教員は公教育を担う立場であり、個人の考えだけで授業や指導を行うことはできないからです。

まず押さえておきたいのが「学習指導要領」です。これは文部科学省が定める教育の基準で、各教科で何をどのように教えるかの指針となるものです。

また「教育基本法」には、教育の目的や理念が明記されており、小論文でこれらに沿った論旨を展開できると、採用担当者に好印象を与えられます。

「自分なりの教育観」を述べることは大切ですが、国の方針を理解したうえで語ることが説得力につながります。

教育現場の現状の理解

教育現場の課題を把握していることも、小論文で評価されるポイントのひとつです。現場の実態を知らないまま理想論を書いても、採用担当者には響きません

教員不足、不登校の増加、いじめ問題、特別支援教育の充実など、現在の学校現場はさまざまな課題を抱えています。こうした現状は、教育関連のニュースや新聞、文部科学省が公表している調査資料などで把握できます。

特に社会人から教育現場を目指す場合、学生と比べて現場との接点が少ないぶん、意識的に情報収集する姿勢が重要です。

現状を知ることで、小論文のテーマに対してより具体的かつ現実に即した論述ができるようになります。

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課題解決のための現実論

教員採用の小論文では、独創的なアイデアよりも実際に学校現場で使えるかという現実性が重視されます。

学校は組織として動いており、一教員が単独で教育方針を決められるわけではないからです。

たとえば「学校の授業をすべてプロジェクト型にする」といった提案は理想的に聞こえますが、時間割や学習指導要領との整合性を考えると現実的ではありません。

それよりも「週1回のホームルームを使って生徒同士が意見を交わす場を設ける」といった、明日からでも着手できる提案のほうが評価されやすいです。

現実の制約を踏まえながら課題に向き合う姿勢こそ、採用担当者が見ているポイントといえます。

オリジナリティーのある超優秀な人材よりも、4月から教壇に立ってまずは無難に物事をこなせる人材を教育現場は求めているということですね。

以下の教育学部の記事も参照

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教員採用試験の小論文の書き方・基本

小論文には守るべき型とルールがあります。

内容の良し悪し以前に、基本を押さえているかどうかが採点者の第一印象を左右するため、まずここをしっかり固めておきましょう。

型に沿って書く

教員採用試験の小論文は、決まった構成の型に沿って書くことが合格への基本です。型があることで論旨が整理され、採点者にとって読みやすい文章になるからです。

構成は「序論・本論1・本論2・結論」の4段落が基本となります。

序論ではテーマの社会的背景や課題、取り組むべき方向性を示します

本論1では、そのテーマに関する問題の解決策として、教師の立場での具体的な実践例を書きます。

本論2では、本論1の別の実践例か、本論1の内容をさらに深掘りした内容を展開します。

結論では論全体のまとめと補足、そして教師としての意志を示して締めくくります。

型を身につけることで、限られた試験時間のなかでも落ち着いて書き進められるようになります。

表にしました。テーマは「不登校の増加」を例にしています。

構成 テーマ:不登校についての取り組み 例文イメージ
序論 テーマの社会的背景・課題・取り組むべき方向性を示す 「近年、不登校の児童・生徒数は増加傾向にあり、その要因は多様化している。学校全体で一人ひとりに寄り添う支援体制を整えることが急務である。」
本論1 問題の解決策として、教師の立場での具体的な実践例を書く 「担任として、毎朝の短い声かけを習慣化し、些細な変化も見逃さないよう努める。気になる様子があればすぐに記録し、学年主任やスクールカウンセラーと情報を共有する。」
本論2 本論1の別の実践例 または 本論1をさらに深掘りした内容を展開する 「(深掘りの場合)情報共有にとどまらず、保護者との定期的な面談の場を設け、家庭と学校が連携して支援の方針を揃えることが重要である。」
結論 全体のまとめ・補足と、教師としての意志を示して締めくくる 「不登校への対応に唯一の正解はないが、子どもが安心して学べる環境をつくることが教師の根本的な役割である。一人ひとりの状況を丁寧に見つめ、組織と連携しながら支援し続けていく。」

ただし、これは絶対的な型ではないので、基本としつつも問題に合わせて書くということを意識して練習しましょう。

小論文の基本やルールを徹底する

内容が良くても、基本的なルールが守れていなければ減点につながります。

まず文体は「だ・である」調で統一し、意見を述べる際は「~と思う」ではなく「~と考える」と言い切る形にしましょう。

字数は指定の9割以上を目安に書くことが原則です。

話し言葉(「なので」「あと」など)や、い抜き・ら抜き言葉(「してる」「見れる」)は書き言葉に直します。

「ネット」「時短」などの省略語も、広く知られているもの以外は正式な表現に改めましょう。

また、感情的な表現や極論は採点者の印象を損なうため避けるべきです。

「教師としての自分の考えと、その根拠」を論理的に伝えることが、よい小論文の条件といえます。

小論文の基本やルールについては以下も参照

これはイイの?ダメなの?小論文の基本的なルールについて
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キーワードや教育用語を盛り込む

小論文にキーワードや教育用語を盛り込むことで、教育への理解度が採点者に伝わりやすくなります。

ただし、無理に詰め込むと文章が不自然になるため、文脈のなかで自然に使うことが大切です。

たとえば「主体的・対話的で深い学び」「インクルーシブ教育(障害のある子もない子も共に学ぶ教育)」「特別支援教育」「不登校支援」といった用語は、現代の教育現場で頻繁に取り上げられるテーマと結びついています。

こうした言葉を使う際は、意味を正確に理解したうえで論述に組み込みましょう。

知っている言葉を並べるのではなく、テーマに合った言葉を選んで使うことが、説得力のある文章につながります。

志望先の教員採用試験の傾向を把握する

小論文の対策は、闇雲に書くよりも志望先の傾向を把握したうえで進めるほうが効率的です。傾向をつかんだら、あとは実践と添削の繰り返しが合格への近道になります。

過去問で傾向を確認する

志望する自治体の教員採用試験には、それぞれ出題の傾向があります。過去問を確認することで、頻出テーマや求められる字数、問いの形式を事前に把握できます。

たとえば「あなたの目指す教師像を述べなさい」といった教師の姿勢を問うテーマもあれば、「不登校の増加にどう対応するか」など教育課題への対応を問うテーマもあります。

過去3〜5年分の問題を見ると、出題の傾向が見えてくるでしょう。

志望先が求める教師像を把握したうえで小論文を書くことで、的外れな内容になるリスクを大幅に減らせます。

過去問については、自治体のホームページや以下を参照してみましょう。

2027年度版 全国まるごと過去問題集 論作文・面接 (教員採用試験対策「全国版」過去問シリーズ)

とにかく書く

小論文は、書き方を頭で理解しているだけでは上達しません。実際に手を動かして書く練習を積み重ねることが、何より大切です。

読んで「なるほど」と思っても、いざ白紙に向かうと手が止まってしまうのはよくあることです。

最初はうまく書けなくて当然なので、完成度より「書き切ること」を優先しましょう。過去問のテーマを使って時間を計りながら書くと、本番に近い感覚で練習できます。

書いた数だけ文章の感覚が身につくため、試験までにできるだけ多くの答案を仕上げることが力につながります。

書いたら添削をしてもらう

書いた小論文は、必ず第三者に添削してもらいましょう

自分では気づきにくい論理の飛躍や言葉遣いのクセは、客観的な目で読んでもらうことで初めて見えてきます。

添削の依頼先としては、大学の指導教員や教職課程の担当者が最も信頼できます。

身近に頼れる人がいない場合は、ChatGPTやClaudeなどの無料AIツールを活用する方法もあります。

ただしAIの添削には限界があるため、最終的には人の目で確認することが理想です。

添削を受けたら修正して書き直し、再び添削してもらうというサイクルを繰り返すことで、着実に小論文の精度が上がっていきます。

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「小論文を書いたけど、添削を誰に頼めばいいの?」「親や学校の先生だと恥ずかしいし、何かいろいろ言われそうで怖いわ!」確かに、自分の書いた小論文の内容をいろいろ言われたり、ともすると否定されるようなことは怖いですよね。ただ、他者の視点で添削を...

例題と解答例

実際の試験問題に近い例題で、解答の流れと文章の組み立て方を確認しておきましょう。

字数ルールや「だ・である」調など、基本を守ったうえでどう書くかをイメージするための参考にしてみてください。

例題1

【問題】

確かな学力を育むためには、互いの良さを認め合い、自分の良さを発揮できる学級づくりが大切である。あなたは学級担任として、どのように取り組んでいくか。800字以内で述べなさい。

【解答例】

子どもが安心して自分を表現できる学級をつくることが、確かな学力の土台となる。学力の向上は、知識の習得だけでなく、自己肯定感や他者への信頼感と深く結びついているからだ。失敗しても受け止めてもらえるという安心感があってこそ、子どもは挑戦する意欲を持てる。

まず、日常の授業のなかで「正解のない問い」を積極的に取り入れる。たとえば国語の授業では、登場人物の気持ちについて「なぜそう思ったか」を問い、複数の解釈を学級全体で共有する場を設ける。ここでのねらいは、答えの正誤よりも「自分なりの考えを言葉にする経験」を積ませることだ。異なる意見が出るほど、子どもたちは「人によって見方が違う」という事実を自然に学び、他者の考えを受け入れる姿勢が少しずつ育まれていく。

次に、友達のよさを言語化する機会を意識的につくる。週に一度、帰りの会で「今日誰かにしてもらって嬉しかったこと」を一言ずつ発表する時間を設けることで、普段目立たない子の行動にも光が当たりやすくなる。教師が特定の子だけを褒めるのではなく、子ども同士が互いに認め合える場を丁寧に設けていくことが重要だ。この取り組みを継続するなかで、発言を躊躇していた子が少しずつ手を挙げるようになったり、苦手な教科に前向きに向き合う姿が見られたりと、学習への意欲が変化していく。

こうした小さな変化の積み重ねこそが、自分の考えが受け入れられる経験となり、学ぶことへの自信につながるのだと考える。一人ひとりの個性を活かした学級づくりは、一朝一夕では実現しない。日々の小さな関わりの積み重ねと、子どもの変化を見逃さない観察眼を大切にしながら、全員が安心して「ここにいてよかった」と感じられる学級を担任として構築していきたい。(723字)

例題2

【問題】

各学校では、児童・生徒が互いのよさを見つけ、多様な考えを尊重し合うことができるよう、教育の充実を図っている。(1)このことについて、あなたの考えを理由を明確にして述べなさい。(2)(1)の考えを踏まえ、教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種・教科に即して述べなさい。1000字以内で述べなさい。

【解答例】

多様な考えを尊重し合う力は、変化の激しい現代社会を生きるうえで欠かせない資質である。グローバル化やAI(人工知能)の進展により、これからの社会では画一的な正解よりも、異なる背景や価値観をもつ人々と協力して課題を解決する力が求められる。学校教育はその基盤を築く場であり、日常の学びのなかで多様性への理解を育てることが重要だと考える。

一方で、「多様な考えを尊重する」ことは、単に「どんな意見も否定しない」という消極的な態度とは異なる。自分とは異なる意見に触れ、なぜそう考えるのかを理解しようとする積極的な姿勢こそが、真の意味での尊重につながる。そのような態度は、意図的に設計された学習環境のなかで初めて育まれるものだ。

私は中学校の社会科教師を志望しており社会科は、歴史的事象の解釈や現代社会の問題など、立場によって見方が大きく異なるテーマを多く扱う教科だ。この特性を活かし、授業のなかで「正解が一つではない問い」をグループで話し合う場を設ける。たとえば「ある歴史的な政策は正しかったか」というテーマでは、賛成・反対それぞれの立場から根拠を考えさせ、発表し合う活動を取り入れる。重要なのは、異なる意見が出たとき、教師がどちらの意見が正しいかを即座に示さないことだ。「なぜそう考えたのか」「どの資料をもとにしているか」を問い返すことで、根拠を伴った思考の習慣を身につけさせる。こうした授業を積み重ねることで、生徒は「自分と違う意見にも耳を傾ける価値がある」という感覚を自然に獲得していく。

学級運営においても、互いのよさを見つける文化を意識的につくる。たとえば月に一度、クラス全員が一人の生徒についてよい点を付箋に書いて渡す「ストロングカード」などの活動は、普段気づかれにくい個性や努力を可視化するうえで効果的だ。自分の存在が認められているという実感は、授業での発言や主体的な学びへの意欲にも好影響をもたらす。

多様な考えを尊重し合える人間を育てることは、学校だけで完結するものではない。しかし教師として、その第一歩を踏み出す場をつくることが自分の役割だと考える。生徒一人ひとりの声に耳を傾け、違いを力に変えられる学びを追求していきたい。(912字)

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