書くネタから、法学部の小論文の書き方を見ていこう!

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小論文の書き方

法学部受験を考えているあなた、小論文の書き方に不安を抱えていませんか?

論理的で説得力のある文章を書くことが求められる法学部の小論文では、判決文のような結論先行型の構成と、憲法や法的概念への深い理解が合格の鍵となります。

本記事では、法学部における小論文の書き方の基本から頻出テーマのネタまで、高校生でも実践できる具体的な対策方法を詳しく解説します。

これを読めば、論理の飛躍を避け、設問に的確に答える小論文が書けるようになるでしょう。

法学部の小論文対策

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この記事を書いた人
飛田 弘一

小論文の独自研究家・指導者。

Amazonにて400部突破『小論文の手引き』の著者。

大学卒業後、書籍の誤字・脱字を確認する校正の仕事を経て、学生時代に小論文がまったく書けず受験で悔しい思いをした経験から、書店の小論文の参考書は延べ100冊以上を読み、また小論文の講座を30以上受講するなど、小論文の独自研究に没頭する。

そこで得た知見から、誰でも実践できる分かりやすい小論文の書き方を構築。

小論文が書けない人の気持ちを誰よりもよく分かる指導者を自任し、決して上から目線にならない丁寧な小論文の指導を心がけている。

飛田 弘一をフォローする

法学部の小論文の書き方

法学部の小論文では、裁判官や弁護士といった法曹関係者が日常的に扱う判決文を意識した論理的で明確な文章を書くことが求められます。

論理的思考力と法的な視点から問題を分析する能力を示すことが評価のポイントとなります。

小論文の基本

法学部の小論文の書き方を見ていく前に、以下で小論文の基本についておさらいしておきましょう。

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結論先行で書く

法学部の小論文では、判決文と同様に結論を最初に明示する「結論先行型」の構成が効果的です。

第一段落で「私は〇〇であると考える」という形で自分の立場を明確に示し、その根拠となる理由を整理して提示します。

この書き方により、読み手は論旨を把握しやすくなり、論理的で一貫した主張として評価されます。結論を先に持ってきてから理由を展開する構成は、法的な文書の特徴でもあり、法学部入試では特に重要視される要素です。

最終段落では、冒頭の結論を補強する形でまとめることで、説得力のある論文が完成します。

ただし、単純に結論を繰り返すのではなく、論証を踏まえた発展的な結論を示すことが大切です。

  1. 結論先行・サンドイッチ型
  2. 問題提起・結論先行型

どの学部の小論文の試験でも分かりやすさは大切ですが、法学部の小論文はとくに結論先行で、何が言いたいのか分かりやすく書くことが求められます。

論理の飛躍は減点

法学部の小論文では論理的な文章構成が何よりも重要で、文意を明瞭に、誤解なく相手に伝えることが求められます。

一文や段落が抜けていると読み手に文意が伝わらず、「論理の飛躍」として大幅な減点対象となってしまいます。

そのため、文と文、段落間のつながりを意識し、接続詞を積極的に使って論理関係を明確にする必要があります。

「したがって」「しかし」「なぜなら」といった接続詞により、因果関係や対立関係を示すことで読み手の理解を助けます。

地味で固い文章になっても構わないので、論理的一貫性を最優先に考えて解答を作成しましょう。

他の小論文では、くどいと感じるくらい緻密に論証を積み重ねることが、法学部の小論文での高評価につながります。

憲法や法律に目を通す

押さえておくべき概念

  • 法とは何かという根本的な問題
  • 法と道徳(正義)との関係
  • 人権の種類(自由権・社会権・平等権など)
  • 民主主義の本質、三権分立の仕組み
  • 公共の利益と私権の関係、そして公共性とは何か

法学部の小論文では、日本国憲法や関連法律への理解が不可欠です。

主要な憲法条文を読んで理解しておき、現在問題になっている事項に関する憲法を把握することで、具体的で説得力のある論述が可能になります。

特に以下の基本概念は必ず押さえておく必要があります。

法とは何かという根本的な問題、法と道徳(正義)との関係、人権の種類(自由権・社会権・平等権など)、民主主義の本質、三権分立の仕組み、公共の利益と私権の関係、そして公共性とは何かという概念です。

これらの知識を土台として、憲法と法律と良心に基づいた論理的な思考を展開することが求められます。

法学部では独創性よりも、確実な法的根拠に基づいた堅実な論証が評価されます。

法学部の小論文のネタ

法学部の小論文では、時事問題から基礎的な法的概念まで幅広いテーマが出題されます。頻出テーマを把握し、論理的な思考力と法的視点を養うことが重要です。

頻出10テーマ

  1. 法の基本
  2. 袴田巌さん再審で無罪判決
  3. 同性婚、選択的夫婦別姓の是非について
  4. AI技術に対する法的規制の是非について
  5. ロシアのウクライナ侵攻と国際法や国際関係、日露関係、領土問題
  6. ノーベル平和賞に日本被団協、日本の国際社会での役割
  7. 働き方改革関連法、男性の育児休暇、少子化、出生率の低下
  8. クルド人など難民問題、受け入れの是非、法・政治のあり方
  9. 新型コロナウイルスの感染拡大のふり返りと私権制限の是非
  10. 日本と海外の法制度の比較、米大統領と日本の首相の選出過程の違い

法学部入試で特に重要な10のテーマがあります。

まず法の基本概念として、人権の種類(自由権・社会権・平等権)や三権分立の仕組みなどが基礎として問われます。

時事問題では袴田巌さん再審での無罪判決から見る冤罪問題と再発防止策、同性婚や夫婦別姓制度の是非などが頻出です。

さらに、AI技術に対する法的規制の必要性(EUのAI規制法を参考に)、ロシアのウクライナ侵攻に関連した国際法や領土問題、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協を通じた日本の国際社会での役割も重要テーマです。

国内問題では働き方改革関連法や男性育児休暇、少子化対策、クルド人を含む難民問題、新型コロナウイルス感染拡大における私権制限の是非、そして日米の政治制度比較(大統領と首相の選出過程の違い)などが出題されています。

これらのテーマに対して憲法や法律に基づいた論理的な分析ができるよう準備が必要です。

高校生、ましてや大人にとってもこれらのテーマは難しい問題ですが、普段から意識的にニュースや新聞などで見て考え、親や友人などに自分の考えを伝えられるように練習してみましょう。

また小論文の書き方で文章に書くことによって、自分の考えが出てきてまとまるようになります。

メリット・デメリットについて考える

法学的な深い思考力を身につけるためには、各テーマについてメリットとデメリットの両面から分析する習慣が重要です。

例えば、AI技術の法的規制について考える際、規制のメリットは個人情報保護や倫理的問題の防止があり、デメリットとしては技術革新の阻害や経済競争力の低下が挙げられます。

このような多角的な分析により、単純な賛成・反対論を超えた法的思考が可能になります。

同性婚制度であれば、婚姻の自由や法的平等というメリットと、伝統的家族観や制度変更のコストというデメリットを天秤にかけて論じることができるでしょう。

難民受け入れ問題でも、人道的観点や国際協調のメリットと、社会保障費増加や文化摩擦のリスクを比較検討する視点が求められます。

こうした両面思考により、法学部入試で求められる論理的で客観的な議論を展開する力が養われます。

設問には必ず答える

小論文において最も基本的で重要なのは、設問の指示に完全に従うことです。「具体例を挙げて論じなさい」という設問であれば、必ず具体的な事例を提示する必要があり、これを怠ると大幅な減点対象となります。

設問の条件をスルーすれば採点対象外になることもあります。

試験開始時と終了前には必ず設問を再確認し、すべての指示に対応できているかチェックしましょう。

「憲法の条文を引用して」「判例を示して」「外国の制度と比較して」など、法学部特有の指示も多く見られます。

字数制限も厳格に守る必要があり、指定された文字数の90%以上は書くよう心がけてください。

また、「賛成か反対かを明確にして論じなさい」という設問では、あいまいな結論は避け、必ず白黒をつけた主張を展開することが求められます。

小論文やってはいけないこと

アウトラインを書く

効果的な小論文作成のためには、執筆前にアウトライン(構成メモ)を作成することが不可欠です。

  1. 小論文800字の書き方を解説

序論・本論・結論の大まかな流れを決め、各段落で述べる論点を整理してから書き始めることで、論理的で一貫した文章が完成します。

本論では根拠を2~3程度に絞って展開し、それぞれに具体例や法的根拠を示すことが効果的です。

志望校の過去問を直近3年分入手し、実際の出題傾向や求められる論述レベルを把握することも重要です。

解答作成後は必ず添削を受け、論理の飛躍がないか、設問に適切に答えているか、憲法や法律の理解は正確かなどを客観的にチェックしてもらいましょう。

時事問題については『現代用語の基礎知識』や週刊誌『AERA』などで最新情報を収集し、法学の基礎知識は政治経済の参考書やスタディサプリで体系的に学習することをお勧めします。

例題と解答例

以下、法学部の小論文の試験を想定した例題と解答例を3例ほど挙げました。書く練習の参考にしてみてください。

例題1

【問題】AI技術の進展に対する法的規制の是非について、具体例を挙げてあなたの意見を800字以内で論じなさい。

(解答例)

私はAI技術に対する適切な法的規制が必要であると考える。ただし技術革新を阻害しない範囲で、人権保護と社会の安全を確保する規制の枠組みを構築すべきである。それは技術革新を法規制で縛ろうとしても限界があり、法規制したとしても新たな技術革新に追い付かず実質的に困難だからである。だが、技術革新の進歩で法規制を怠っては、その責任があいまいになり、却って技術革新の進歩を阻む要因ともなるだろう。

そこでまず、規制が必要な理由として、個人情報保護とプライバシーの問題が挙げられる。AIによる顔認識技術や行動分析は、個人の監視社会を招く危険性がある。EUでは一般データ保護規則(GDPR)により、個人データの処理に厳格な制限を設けている。日本でも同様の法整備により、AIが収集・処理する個人情報に関する明確な基準を設ける必要がある。

次に、雇用への影響に対する対策が求められる。AIの導入により多くの職種で人員削減が進む可能性があり、労働者の生活基盤が脅かされる恐れがある。ドイツでは「労働4.0」政策により、デジタル化に伴う労働者の再教育や転職支援を幅広く議論する枠組みを設けている。日本でも働き方改革関連法に加え、AI導入企業に対する労働者保護義務について幅広く議論する枠組みを設けるべきだ。

一方で、過度な規制は技術革新の阻害につながる懸念もある。しかし、規制の目的は技術発展を停止させることではなく、社会全体の利益と調和させることにある。医療AIによる診断支援や自動運転技術など、人命に関わる分野では安全基準の策定が不可欠である。これらの分野で事前の安全審査や認証制度を導入することで、技術の健全な発展を促進できる。したがって、AI技術に対する法的規制は、技術発展と人権保護のバランスを取る形で実施されるべきである。(739字)

例題2

【問題】働き方改革関連法の施行を受けて、男性の育児休暇取得促進の意義と課題について800字程度で論じなさい。

(解答例)

男性の育児休暇取得促進は、少子化対策と男女共同参画社会の実現において重要な政策であり、積極的に推進すべきである。ただし、制度の実効性を高めるためには職場環境の改善と社会意識の変革が不可欠である。とくに育休取得による昇進への影響改善や同僚などの業務負担軽減など、職場環境の改善は急務といえる。

まず、男性育休の意義として、女性の社会進出促進が挙げられる。従来、育児は女性の役割とされ、出産を機にキャリアを中断する女性が多かった。男性が育児に参画することで、女性が継続して働きやすい環境が整い、労働力不足の解消にもつながる。スウェーデンでは男性育休制度の拡充により、女性の労働参加率が約80%まで向上している。日本でも憲法第14条の法の下の平等の観点から、性別に関係なく育児の機会を保障することが求められる。

次に、少子化対策としての効果が期待される。男性が育児に関わることで、夫婦間での育児負担が分散され、第二子以降の出産に対する心理的ハードルが下がる可能性がある。フランスでは父親休暇制度などの充実により、2023年に2.0を下回ったものの合計特殊出生率が約2.0を維持している実績がある。日本でも夫婦での育児負担の分散が実現していけば、出産育児に対するハードル低下とともに、第二子以降の出産に対する心理的ハードルの低下にもつながるだろう。

しかし、現実には多くの課題が存在する。最大の問題は職場の理解不足である。育休取得により昇進に影響が出るのではないかという不安や、同僚への業務負担増加への懸念が男性の取得率を低迷させている。2022年の男性育休取得率は13.97%にとどまっており、政府目標の30%には程遠い状況である。これらの課題解決には、企業への積極的な支援策と罰則規定の整備が必要である。育休取得者の代替要員確保に対する助成金制度の拡充や、取得を阻害する企業への指導強化により、制度の実効性を高めることができる。(792字)

例題3

【問題】新型コロナウイルス感染拡大に対する政府の私権制限措置について、憲法の観点から評価し、今後の感染症対策のあり方について600字以上800字以下で論じなさい。

(解答例)

新型コロナウイルス対策における私権制限は、公共の福祉の観点から一定の正当性があったが、憲法上の基本的人権との調和を図る制度設計の改善が必要である。今後は事前の法整備と透明性の確保により、より適切な対応が求められる。憲法第13条は「公共の福祉に反しない限り」個人の権利を保障している。感染症の拡大防止は明らかに公共の福祉に該当し、移動の自由や営業の自由の制限には一定の合理性があった。特に医療体制の逼迫時には、生命権の保護が他の権利に優先することは憲法の精神に合致する。外出自粛要請や営業時間短縮は、強制力を持たない「要請」という形式を取ることで、可能な限り私権制限を最小限に留めようとした配慮も評価できる。

一方で、問題点も多数存在した。最大の課題は法的根拠の不明確さである。緊急事態宣言は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくものだったが、新型コロナウイルスを対象とするには法改正が必要だった。また、学校の一斉休校要請は法的根拠が曖昧であり、教育を受ける権利(憲法第26条)への配慮が不十分だった。

さらに、制限措置の基準や解除条件が不透明で、国民の理解と協力を得にくい状況があった。ドイツでは感染状況に応じた段階的な制限レベルを事前に明示し、予見可能性を高めていた。日本でも科学的根拠に基づく明確な基準の設定が必要だった。

今後の感染症対策では、平時からの制度整備が不可欠である。感染症対策基本法の制定により、私権制限の要件と手続きを明確化し、国会や司法による事後的なチェック機能を強化すべきである。また、補償制度の充実により、制限を受ける事業者や個人の経済的負担を軽減することで、制限措置への協力を得やすくする必要がある。憲法の基本的人権の保障と公共の福祉の実現を両立させる、バランスの取れた制度設計が求められる。(757字)

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