小論文での独創性に悩んでいませんか?
「ありきたり」の内容から抜け出せない、新しいアイデアが思いつかないと頭を抱える受験生は少なくありません。
実は、小論文での発想力や独創性は「ひらめき」ではなく、日々の積み重ねから生まれるものです。
本記事では、独創的な小論文を書くための発想力の養い方、ありきたりな内容から脱却するためのコツ、そして小論文に自分らしさを出す方法をご紹介します。
今回学ぶこと
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小論文での発想力の養い方
独創的な小論文を書くためには、発想力を養うことが不可欠です。
しかし、多くの受験生は「どうすれば新しいアイデアが生まれるのか」と悩んでいます。発想力は一朝一夕に身につくものではなく、日常的な思考や経験の積み重ねから生まれるものです。
以下では、発想力を効果的に高める方法を紹介します。
ある日突然、思いつくものではない
発想力はある日突然、ひらめきのように思いつくものではありません。
多くの受験生は「発想力を鍛えれば、どんな問題にも独自の解決策が思いつくようになる」と考えがちですが、その認識は正しくありません。
実際には、あるテーマについて独創的な考えを持てるのは、そのテーマについて過去に深く考察した経験があるからです。
小論文で求められる社会問題や課題について、その場で斬新な解決策を考え出すのは至難の業です。
私も何か良いアイデアが思いついたときを振り返ってみると、そのことに関してずっと考えていて、そこから離れて別の作業をしているときに「ひらめく」という段階をたどっていることがわかります。
タネをまかなければ作物が獲れないように、発想力とは、蓄積された知識や経験が新しい文脈で結びつく現象なのです。
発明王と言われるエジソンも「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」と言っていますね。
発想の前には、考える作業が必要だということです。
だからこそ、過去問などから関連する新聞やテレビのニュースを見る、書籍を読む、webで調べるなど様々な社会問題について日頃から考える習慣が重要になります。
発想力は準備の積み重ねから生まれるものだと認識しましょう。
地道な作業が発想力を養う
発想力を高めるには、地道な準備・作業が欠かせません。
具体的には、過去問などから小論文で出題されそうなテーマについて幅広く調べ、自分なりの見解を持っておくことが効果的です。
新聞記事を読む、自分の考えを書く、あるテーマで友人と話し合ってみるなど、日常的に思考を深める習慣が、いざというときの発想力につながります。

また、異なる立場や視点から物事を考える訓練も重要です。
一つの問題に対して「賛成の立場」「反対の立場」「第三の視点」など、複数の角度から考察してみましょう。この練習を繰り返すことで、思考の柔軟性が高まり、独自の視点が生まれやすくなります。
小論文対策としては、過去問や練習問題に取り組み、そのつど振り返りを行うことで、着実に発想力は向上していきます。急がば回れ、地道な積み重ねこそが最短の道なのです。
小論文で独創性を出すには?
小論文で求められる「独創性」は、多くの受験生が悩むポイントです。奇抜なアイデアや突飛な発想を無理に盛り込む必要はありません。
むしろ、自分自身の思考プロセスや経験に基づいた率直な考察こそが、自然な独創性につながります。以下では、小論文に独創性を持たせるための具体的なアプローチを見ていきましょう。
独創性を出そうとは考えないこと
独創性を意識しすぎると、かえって型にはまった小論文になってしまうことがあります。「他の人と違うことを書かなければ」という思いが先行すると、突飛な主張や無理のある論理展開に走りがちです。
むしろ、独創性を直接追い求めるのではなく、与えられたテーマに対して率直に向き合うことが大切です。
多くの受験生が陥りがちな罠は、独創的であろうとするあまり、現実離れした解決策や根拠の薄い主張をしてしまうことです。
しかし、採点者が評価するのは奇抜さではなく、論理的な一貫性と説得力です。
よく考えた「ありきたり」の主張は、表面的な独創性よりも評価されます。
自分の言葉で、自分の思考プロセスを素直に表現することで、結果として他者とは異なる小論文が生まれてくるでしょう。
主張・知識・経験に独創性を持たせる
小論文の独創性は、主張だけでなく、知識や経験の活用方法にも現れます。
主張については完全に新しいアイデアよりも、既存の考え方に対する新たな角度からの検討や、複数の概念を独自に組み合わせる方法が有効です。これは難しいことではありませんが、深い思考を必要とします。

知識については、単なる情報の羅列ではなく、それをどう解釈し、文脈に位置づけるかが重要になります。
特に自分自身の経験は、最も独創的な要素となり得ます。部活動での気づき、ボランティア活動での発見、日常生活での疑問など、あなただけの経験を論文に織り込むことで、説得力と独自性が生まれるのです。
ただし、経験を単に述べるだけでは不十分で、その経験から「何を得たのか?」「何を学んだのか?」という気づきが必要です。こうした個人的体験が、独創的な小論文の鍵となります。
そして実体験を挙げるときは、問題の内容に沿っているかどうかで判断しましょう。
自分で考えることが独創性につながる
独創性の本質は、他者の意見をなぞるのではなく、自分自身で考え抜くプロセスにあります。
小論文の課題に直面したとき、すぐに「模範解答」を探そうとせず、まずは自分の頭で考える時間を持ちましょう。
設問からキーワードを抽出し、関連する事象や概念を自由に書き出すブレインストーミングが有効です。ただし、このブレインストーミングは試験時間が設定されていない練習で使ってください。
試験を本番では、とてもブレインストーミングを行っている時間はありません。
そして、この段階では「正しさ」より「自分らしさ」を重視しましょう。
他人の意見を「なぞらない」というのは、たとえ結論は他人の意見と同じでも、その結論に至る過程で他人が挙げなかった自分の知っていること、経験したことをもとに考えるということです。
あるいは他人の挙げた事実を深く掘り下げて考えてみたり、他人が挙げた視点とは別の視点で考えてみるということです。
例えば環境問題について書く場合、教科書的な解決策だけでなく、自分が日頃から疑問に思っていることや、身近な環境活動から得た気づきを盛り込むことができます。
自分の言葉で語ることで、思いがけない視点が生まれることもあります。
最終的には論理的な整合性をチェックしますが、出発点はあくまで自分自身の思考です。
他人の意見は参考にしつつ、自分で考える姿勢こそが、真の独創性を生み出す土壌となります。
小論文の答案が「ありきたり」になってしまう
小論文を書くと、どうしても「ありきたり」な内容になってしまうと悩む受験生は少なくありません。
「他の人と同じことしか書けない」「どこにでもあるような一般論に終始してしまう」という悩みは、実は多くの人が経験するものです。
しかし、「ありきたり」を脱却する方法はいくつもあります。ここでは、そのための具体的なアプローチを紹介します。
ありきたりで構わない
小論文が「ありきたり」になってしまうことを過度に心配する必要はありません。
実際、入試や就職試験の小論文では奇抜なアイデアよりも、論理的な思考プロセスにより一貫して自分の考えを説明できる能力のほうが重視されます。
誰も思いつかないような斬新な発想を無理に探すよりも、自分の主張をどう根拠づけるかに注力しましょう。
そもそも社会経験のない高校生や大学生の発想などたかが知れており、出題者も採点者もそのことは承知しています。
例えば、環境問題について「省エネが大切だ」という主張は確かに一般的ですが、その主張に至った理由や具体的な取り組み方を分かりやすく説明することで、説得力のある小論文になります。
採点する側も、珍しいアイデアよりも、筋の通った論理展開や主張の妥当性を評価する傾向があります。
「ありきたり」を恐れるあまり、現実離れした主張をするよりも、平凡でもよく考えた答案のほうが高く評価されるということを覚えておきましょう。
新聞や書籍、Webから知識をえる
小論文を書く際の「ありきたり」から脱却するには、豊富な知識や具体例を持っていることが大きな武器になります。
日頃から新聞や関連書籍、信頼性の高いWebサイトなどから情報を収集する習慣をつけましょう。
特に志望学部やそこから関心のある分野に関連するニュースや新聞記事には目を通します。
また最近は新聞を取っていないという過程も少なくないので、インターネットのYahooニュースなどで問題に関連する、あるいは自分が関心を持ったタイトルの記事を読んでみるのも良いでしょう。
教育のいじめが問題ならば、「教育 いじめ」と検索して関連ニュースやそのことを取り上げている記事を読んでみる。その際はURLをきちんと確認して、専門家や公的機関のものなど発信元が信頼できるものかを確認してから読みましょう。
そこで例えば、教育学部を目指すなら教育改革の最新動向や現場の課題について調べておく、医学部志望なら最新の医療技術や健康問題について情報を集めるなど、分野に特化した知識が役立ちます。
ただし、情報をただ羅列するのではなく、「この情報を知って自分はどう考えたか」まで整理しておくことが重要です。
そして一つの記事の内容を鵜呑みにしないで、いくつかの記事を読んで共通する点や異なる見解などをもとに自分なりに考えて、文字数を気にせずに書いてみましょう。
そこで具体的な数字やデータ、事例を引用できれば、あなたの小論文は一般論から一歩抜け出し、説得力が増します。
アドミッションポリシーや会社案内を参考にする
小論文で独自性を出す際に見落としがちな情報源が、志望校のアドミッションポリシーや企業の会社案内です。
これらには、その組織が求める人物像や価値観が明確に示されています。この情報を参考にすることで、採点者の期待に沿った内容を盛り込むことができます。
例えば、「国際的視野を持った人材」を求める大学なら、グローバルな視点からの考察を含める、「地域貢献を重視する」学部なら、地域社会との関わりについて触れるなど、ポリシーに合わせた視点を取り入れましょう。
ただし、これは単なる迎合ではなく、自分の考えとアドミッションポリシーを結びつける作業です。
その大学や会社に入りたために、ついつい「国際貢献をしたいので貴校・貴社に入りたいです」となりがちなのですが、これはあなたが他人からこうやって言い寄られたら嫌ですよね。
私もファンの視点で迎合されることはウンザリします。
それは大学や企業も同じで「とにかく入りたいのが見え見えで、こじつけのようにアドミッションポリシーや企業理念を入れてくる奴はウザい!」ということです。
そう思われるくらいなら、アドミッションポリシーや企業理念といったことを含めて書かない方がマシなので、あくまで問題に沿って、書く書かないを含め判断しましょう。
また、志望する分野の専門誌や業界団体のウェブサイトも参考になります。
そこから得た知識と自分の意見を融合させることで、ありきたりの小論文から脱却し、志望校や企業が求める人材像に近づいた答案を作成することができます。
発想力や独創性といっても、何か特別なことを行うわけではなく、事前の準備や普段の考える練習など地道な作業によって自然と身につくものだといえます。
「エビでタイを釣る」「棚からボタもち」という世の中の誤った発想に惑わされずに、手順を踏まえて小論文の練習を行い、発想力や独創性を身に付けてオリジナリティーのある小論文を書いて合格を目指しましょう。
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