大学入試や就職試験、昇進試験で取り入れられている小論文。
でも、いざ書こうとすると、どう書いていいか分からず、悩んでいる人も多いかと思います。
しかし、小論文というのは皆さんが思っているほど難しいものではなく、書き方のコツさえ覚えて練習すれば、誰でも書ける文章です。
そのなかでも、小論文は「締め方」つまり結論を、あるていど考えて書くことが最も重要となってきます。
とはいえ、「書き方が分からない・・・」「どうやって考えていけばいいの?」ってなかなか分からないですよね。
そこで今回は、小論文の「締め」の重要性と、あわせて「結論の書き方と考え方」について見ていきたいと思います。
小論文の締めの重要性
ここでは、小論文の「締め」つまり結論を先に考えることが、なぜ重要なのかについて見ていきます。
結論が決まると、書く方向性が決まる
まず小論文は、他の文章と違い「主張の一貫性」が大切になってきます。
そのために、まずは書く結論から考えていきます。
私は〇〇だと考える。
この○○という考えの部分が決まれば、文章のゴールが設定されたことになり、このゴールに従ってあとは文章を書くだけとなります。
反対にこのゴールが設定されないと、何を書くのかという方向性が定まらずに小論文を書くことになります。
これでは話が途中で脱線したり、結局「何が言いたいのか分からない」文章となってしまう可能性が高くなります。
小論文の「締め」つまり結論を先に考えることは、文章のゴールをあらかじめ設定することになります。
そして、このゴールから逆算し、一貫して自分の主張に合うように書いていけばよいので、格段に書きやすくなります。
60~90分という限られた制限時間の中で書くには、いかに効率よく書くかというのが重要で、書きやすい方法を選ぶべきでしょう。
ブレずに書くことができる
そして、結論を先に考えることで一貫したブレのない文章が書け、読む人にも分かりやすい文章に仕上がる第一歩となります。
まず小論文は、作文の「起承転結」と異なり、「序論・本論・結論」の3部構成で書くのが基本です。
まず序論で「問題提起または自分の意見」を主張し、本論で「その具体例と根拠」を示し、結論で「意見のまとめ」をします。
もし結論をはじめに設定せずに書いていくと、先ほども言いましたが「何を書いていいか分からない」状態から書くことになるでしょう。
すると話が途中で脱線するなど、あらぬ方向に文章が向かってしまう可能性があります。
また、本論で書いたことと真逆の主張を結論でしたり、「結局何が言いたいのか分からない」という文章になりかねません。
文章の前半と後半で真逆の主張をすれば、考えの一貫性がないと採点者に見なされます。
また自分で何が言いたいのか分からない文章は、もちろん採点者の人にも「何言ってるの?」という文章ですので、不合格です。
小説ならば、予測不能で先の展開が見えない話というのも面白くドキドキするものですが、小論文は分かりやすさが第一です。
分かりやすく話の展開が見える文章というのが、小論文では高評価を得るポイントになります。
結論のフレーズ
これさえ覚えておけば、結論はOKという万能フレーズや、小論文の「締め方」の構成について見ていきましょう。
「したがって」「よって」「以上より」
結論を書くときは、上記のように「したがって~」「よって~」「以上より」というフレーズを使うようにしましょう。
また他にも、あまりこういう言い方はしませんが、「ゆえに~」「もって~」「〇〇が明らかである」という言い方もあります。
こういったフレーズを使うことで、読む人に「あっ、ここが結論だな!」と認識されやすくなります。
私が採点者でも、やはり結論が分かりやすいと評価もしやすいですし、自然と高評価を与えたくなりますね。
主張を繰り返す
賛否が問われている問題で、序論で自分の主張をしたら、結論でもう一回自分の同じ主張を繰り返します。
例
序論:私は〇〇に賛成である。
本論:なぜなら○○だからだ。
結論:したがって私は〇〇に賛成である。
私はこの型を「結論先行・サンドイッチ型」と呼んでいますが、小論文のテッパン型の一つです。
文章全体のまとめ
序論では問題提起だけをして、自分の考えを最後に表明する書き方もあります。
例
序論:〇〇ということが言われている
本論:確かに〇〇である。しかし○○である。
結論:したがって私は〇〇だと考える。
この書き方の場合でも、結論を先に考えることで、あとは結論に従って序論・本論と書いていけばいいので、格段に書きやすくなります。
日本の文章教育では、「型にはまった文章はよくない」といわれることが多いのですが、それは違います。
型を基本にするからこそ、その型を離れてオリジナリティーが出せますし、型を踏まえない文章は、分かりにくく採点者には伝わりません。
採点者に伝わる文章でなければ、特に小論文では、オリジナリティーどうこう以前の問題となります。
結論の書き方と考え方
ここでは「結論の書き方」のおさらいと、あらゆる問題を考える上で「万能かつシンプルな」とっておきの考え方をお教えします。
文章全体で一貫性を持たせる
復習になりますが、小論文は自分の主張に沿って一貫して書きましょう。
小説のように話題や展開を変えて読者を驚かせる必要はありません。最後までブレずに一貫して自分の主張に沿った文章を書きます。
もし、序論や本論と違うことを結論で書いてしまったら、残念ながら小論文の試験は不合格だと思ってください。
また「何が言いたいのか分からない」文章を書いた場合も、同じく不合格だと思ってください。
こうならないために、何度も言いますが結論を先に考えましょう。
結論の考え方
「じゃあ、結論はどう考えていけばいいの?」
そこで簡単で、どの問題でも当てはまる考え方をお教えします。
それは問題に対して、
例えば → つまり → そこから何が言えるか?
を考えてみることです。
例として「お笑い」にたいする自分の考えを聞かれている場合
これに当てはめると
例えば:「お笑い」にはどんな効果があるか?
緊張をほぐす、ストレス解消につながる。「お笑い」を見て笑うことで人の免疫機能が高まると言った身体的な効果があるとの医学的報告。
つまり:精神・身体の両面で生きる活力を与えてくれる。
そこから何が言えるか?:「お笑い」は、人が生きていく上で必要不可欠な要素だと考える。
あくまで一例であり、具体例や事実などは自分で調べる必要がありますが、こんな感じで考えていくと、自然と結論が見えてきます。
また書き始めに明確な結論が出ない場合でも、この手順で考えることでブレのない文章が書け、かつ一貫した文章の結論が出てきます。
一挙両得ということですね。
たとえば・つまり・そこから何が言えるか、の頭文字をとって、問題を考えるときは「たっそ」と覚えておきましょう。
ちょっと変なゴロで覚えにくいですが、どんな問題を考えるのにも使えるので、覚えておくと便利ですよ。
結論を書く際の注意点
結論を書くさい、ここをおろそかにして減点されるのは、もったいないという注意点について見ていきましょう。
問われていることにきちんと答える
当たり前に感じるかもしれませんが、大学入試でも就職・昇進試験の小論文でも、これができていない受験生は多いです。
問われていないことを長々と書いたり、問われていることの一部を無視して書いた答案など。
これは自分できちんと問題を読んだつもりでも、書いていくうちに忘れたりすることもあります。
人間の記憶力というのは忘れやすいもので、聞かれていることの文言に直接アンダーラインを引いたり、通し番号を付して書きます。
こうすることで、「聞かれていることに答えていない」という誤りを防ぐことができます。
聞かれていることに答えていないと、「もしもし~この答えが聞きたいんだけど」となっても採点者は受験者に直接聞くことができません。
そうすると「聞かれていることに答えないわけね」と自然と減点してしまいます。
聞かれたことには、分かりやすく素直に答えてほしいというのが、どの採点者も望んでいることですよ。
したがって合格点を得たいのなら、受験生のみなさんはそれにきちんと答えましょう。
自分の感想は書かない
「〇〇について、許せないと思った」など、自分の感情を書くことはやめましょう。
小論文は、悪を断罪するような文章を書けばよいということではありません。
「内閣支持率が○○%だ」といった具体的な事実にもとづいて、あくまで冷静に自分の考えを書く必要があります。
変に感情を書いてしまうと「う~ん、めんどくさい奴だな」と採点者も少し引いてしまいます。
個人的な感情を書いて、それだけで不合格になることはありませんが、余計なことを書いての減点だけは避けましょう。
自分の意見をはっきり書く
「〇〇だと思う」「〇〇してほしい」など、曖昧な言い方や問題の解決を他人にゆだねるような書き方はやめましょう。
自分の考えを書くときは「~と考える」「~である」などと断定口調で書くようにしましょう。
明確に自分の考えが出ない場合でも、その解決方法を提示するなど、できる限り自分の考えを明確にして書いていく必要があります。
問題を作った人も、採点者もあなたの意見や考えを聞きたがっています。合格点を取りたいのなら、きちんと答えましょう。
ブレずに自分の考えを書く
今回の復習になりますが、あなたの主張に沿った一貫した文章が求められます。
具体的な事実や数字から自分がどう考えるのか、という主観を述べるのが小論文です。
誰が見ても「〇〇という事実」「〇〇という数字・データー」から自分の考えを読み手に納得してもらうのが小論文だといえるでしょう。
そこで自分の主張に沿わない根拠があったり、主張の真逆をいくと「言ってること違うじゃん!」と採点者は納得しません。
そうならないために、これから小論文の受験に挑む皆さんは、「まずは結論から考える」という習慣を身につけていきましょう。
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