「小論文のテーマどうしよう…」と悩んでいる受験生の皆さん、「参院選」や「選挙権」はまさに今押さえておくべき重要テーマです。
18歳選挙権の導入により、高校生の皆さんにとっても身近になった選挙制度。
大学入試の小論文では、選挙制度の理解だけでなく現代的課題への考察力も問われます。
本記事では参院選に関する基礎知識から実際の出題例、解答のポイントまで解説。小論文で選挙権について論じるための視点を提供し、あなたの大学合格を後押しします。
今回学ぶこと
- テーマ「選挙権」「参議院選挙」での考え方
- 小論文の基本のおさらい
- 政治と日常生活を結び付けて、小論文を書く
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小論文のテーマ「参院選」
参議院選挙は政治参加や民主主義の根幹に関わる重要テーマであり、大学入試の小論文でも頻出です。
とくに18歳選挙権の導入以降、高校生にとっても身近な課題となりました。
参院選をテーマにした小論文では、選挙制度の理解だけでなく、現代社会における課題や自分の意見が問われます。
対象学部
参院選をテーマにした小論文は、主に法学部・政治学科・経済学部など社会科学系の学部で出題されます。これらの学部では、政治制度や選挙制度に関する基本的知識と、その課題に対する分析力が求められるためです。
また、教育学部では主権者教育の観点から、国際関係学部では比較政治の視点から出題されることもあります。
近年は社会問題への関心を測る目的で、幅広い学部でも出題される傾向にあります。
とくに現代社会の課題解決に取り組む学部・学科では、民主主義の基盤となる選挙制度への理解と、若者の政治参加についての考察が評価されます。
対策(選挙制度の基本知識と課題の洗い出し)
課題 | 概要 | 問題点 | 対策案 |
---|---|---|---|
投票率の低下 | 全体的な投票率低下、特に若年層で顕著(20代は30%台) | 民主主義の正当性への疑問、政策の偏り | 主権者教育の充実、投票環境の改善(期日前投票所の拡充)、電子投票の検討 |
一票の格差 | 人口減少地域と人口集中地域の間の投票価値の不均衡 | 憲法の平等原則との矛盾、最大3倍近い格差 | 選挙区割りの見直し、合区制度、定数配分の再検討 |
若者の政治参加 | 18歳選挙権導入後も若者の政治参加は低調 | 「シルバー民主主義」による世代間格差、若者向け政策の軽視 | 学校での政治教育強化、SNSを活用した情報発信、若者と政治家の対話機会創出 |
地方と都市の格差 | 人口減少地域の政治的発言力低下 | 地方固有の課題が政策に反映されにくい、合区による地域アイデンティティの希薄化 | 地方代表枠の検討、参議院の「地域代表」としての役割強化、地方分権の推進 |
この表は選挙権に関わる主要な課題を整理したものです。小論文では、これらの課題の関連性や解決策の優先順位について論じることも効果的です。
参院選をテーマにした小論文対策には、まず選挙制度の基本知識を押さえることが重要です。
参議院の役割、選出方法(選挙区制と比例代表制の併用)、任期、定数などの基本事項を理解しましょう。次に、現代の選挙に関する課題を把握することが求められます。
投票率の低下、一票の格差、若者の政治参加、地方と都市の格差などの問題点について新聞やニュースで情報収集してください。
また、自分なりの意見を持つことも大切です。「若者の投票率を上げるには」「地方の声を政治に反映させるには」といったテーマで考えをまとめる習慣をつけましょう。
さらに、過去の参院選の争点や結果について調べることで、具体例を示す際の材料になります。
実際に書く際は、課題の本質を捉え、論理的な構成で自分の考えを展開することを意識してください。
例題と解答例
以下では、実際の問題を想定して2つの例題と解答例を用意しました。
選挙についてのテーマで書くときの参考にしてみてください。
例題1
参議院選挙における投票率の低下が課題となっています。特に若年層の投票率は他の年代と比較して低い傾向にあります。この投票率の低下は民主主義の健全性にどのような影響を与えるでしょうか。また、投票率を向上させるためにどのような対策が必要だと考えますか。あなたの考えを600字以内で述べなさい。
【解答例】
参院選をはじめとする選挙の投票率低下は、民主主義の正当性を脅かす深刻な問題である。特に若年層の投票率が低いことは、政策決定が高齢者寄りになるという偏りを生み出している。
日本の選挙制度は代議制民主主義に基づいており、国民の意思が議員を通じて政治に反映される仕組みとなっている。しかし投票率が低下すると、選ばれた代表が真に民意を反映しているのかという疑問が生じる。特に参議院は「良識の府」として重要な役割を担っているため、幅広い層からの民意を反映することが求められる。
投票率低下の要因としては、政治への無関心や不信感、投票の手間などが挙げられる。特に若者は政治と自分の生活との関連性を見出せていないケースが多い。また「自分一人の一票では何も変わらない」という諦めの感情も影響している。
これらの課題を解決するためには、まず教育面での取り組みが重要だ。学校教育において政治参加の意義を実感できる主権者教育を充実させるべきである。また、投票のアクセシビリティを向上させる施策も有効だ。具体的には、大学キャンパスや商業施設における期日前投票所の設置、電子投票の導入検討などが考えられる。投票率向上は単に数字の問題ではなく、民主主義の質を高める本質的な課題である。税の使われ方や政策などが日常生活にどのように影響するのか、また投票によって良い方向に政策を変えられると意識できれば自然と投票率は上がるだろう。(596字)
例題2
近年、参議院選挙における合区(複数の県を一つの選挙区とする制度)が導入されましたが、これに対して地方からは反発の声も上がっています。一票の価値の平等と地方の代表性確保のバランスをどのように考えるべきでしょうか。あなたの意見を600字以内で述べなさい。
【解答例】
日本の選挙制度は、衆議院が小選挙区比例代表並立制、参議院が選挙区制と比例代表制の組み合わせである。参議院の選挙区は基本的に都道府県単位だったが、人口減少地域の一票の価値が人口集中地域と比べて著しく高くなる「一票の格差」が憲法違反とされ、2016年から人口の少ない県同士を合区する制度が導入された。
一票の格差是正は、法の下の平等を定める憲法の要請である。極端な格差は「一人一票」の原則に反し、人口集中地域の住民の権利を不当に軽視することになる。しかし合区によって、例えば鳥取県と島根県が一つの選挙区になると、各県固有の課題や利益を代表する議員が選出されにくくなる問題がある。
この対立を解消するためには、現行の選挙制度自体を見直す必要がある。一案として、参議院の役割を「地域代表」と明確に位置づけ、人口に関わらず都道府県ごとに一定数の議員を配分する制度改革が考えられる。この場合、衆議院が人口比例の「国民代表」、参議院が地域代表という明確な役割分担が可能になる。
民主主義の質は単純な多数決原理だけでなく、少数者の権利や多様な地域の声を尊重することで高まる。参院選の制度設計においても、数学的な一票の平等性と地方の代表性のバランスを取ることが、国全体の調和ある発展につながるのではないだろうか。(541字)
大学入試での小論文の書き方(おさらい)
小論文の基本や書き方について、今いちどおさらいしておきましょう。
何を今さらと思う人もいるかもしれませんが、少し時間が経って見直してみると再認識や書く際の新たな発見につながり、より試験本番での合格にもつながるので、以下ぜひ見直してみてください。
小論文の基本
すでに書く練習を重ねている人も、改めて小論文の基本やルールについて見てみましょう。
大学入試だけではなく、就職試験や昇進試験の小論文でも共通のルールですので、ぜひ見直してみてください。


小論文のテーマ「選挙権」について
選挙権は民主主義の根幹を成す重要な権利です。
とくに18歳選挙権の導入以降、高校生にとっても身近なテーマとなりました。
小論文では選挙権の意義や課題、若者の政治参加などが問われることが多いです。以下では選挙権に関連する重要な観点を解説します。
課題
選挙権をテーマにした小論文の主要課題は、若年層の投票率の低さにあります。
18歳選挙権が導入されたにもかかわらず、20代の投票率は30%台にとどまることが多く、60代以上の70%台と比較して著しく低い状況が続いています。
この背景には政治への無関心や「一票では何も変わらない」という諦めの感情、政治教育の不足などが挙げられます。
また、一票の格差問題も重要な課題です。人口減少地域と人口集中地域の間で投票価値に差が生じており、憲法が保障する法の下の平等に抵触する可能性があります。
さらに、インターネット時代における選挙運動のあり方や、在外邦人の選挙権保障なども現代的課題として注目されています。
公約
選挙公約は候補者や政党が有権者に対して示す政策の約束であり、選挙権行使の重要な判断材料となります。
公約は本来、政治家と有権者の間の「契約」的性質を持っていますが、実際には実現されないケースも多く見られます。
これには財源問題や政治状況の変化、他党との連立による妥協などが理由として挙げられますが、公約と政策の乖離は有権者の政治不信を招く要因ともなっています。
公約を評価する際のポイントは、具体性、実現可能性、一貫性の三点です。
抽象的な理想論より具体的な施策、財源の裏付けがある提案、そして過去の主張と矛盾しない一貫した姿勢が信頼できる公約の条件といえるでしょう。
選挙権の適切な行使には、こうした視点からの公約分析力が求められます。
消費減税は、ポピュリズムか
消費税減税論は選挙の度に議論を呼ぶテーマですが、これをポピュリズム(大衆迎合主義)と見なす見方もあります。
消費税減税が注目される理由は、有権者にとって最も実感しやすい税金だからです。
しかし専門家からは必ず財源論が指摘されます。消費税は年間約20兆円という安定した税収をもたらし、社会保障費の増大に対応する重要財源となっているためです。
ただし、社会保障費全体を消費税のみで賄っているわけではなく、社会保険料や国債も大きな割合を占めている点を見る必要があります。
とはいえ、所得税や法人税と違い景気変動の影響を受けにくく、少子高齢化社会においても比較的安定しています。
しかし、消費税は全ての人が物を買うときに全ての人が支払うため、形式的には平等ですが、所得の低い人ほど負担が大きいという逆進性をもっています。
そして消費税の税率は、法人税の税率を段階的に引き下げることと反比例して引き上げられてきました。
また所得税も年収1億円を超えると税率が下がるという、富裕層の優遇と言われても仕方がない政策を実施しています。
なぜそうなるかと言えば、今の与党に多額の企業献金がなされており、多額の献金をおこなってきた企業の意向が反映されているといえます。
大きな収益を得ている企業への減税を行いながら、消費税によって所得の低い人ほど負担の大きい税の在り方という所得の再分配が起こりづらい政策を行っています。
もし消費税を減税して、法人税の税率や高所得者の税率を上げれば、現与党への企業団体献金は減るでしょうから、現在の与党が「消費税を減税して応分の負担を求める」政策をとることはないでしょう。
個人的な意見ですが、ここにも企業・団体献金の弊害が政治に現れています。
消費税減税を単なるポピュリズムであるとか、財源論があるのかが言われるとき、その言っている人がどういう立場で発言しているのかも見てみましょう。
いずれにせよ小論文では、単純な賛否ではなく、財政構造や世代間公平性、富の再分配が政治の役目だということを踏まえた多角的分析が求められるでしょう。
また短期的人気と長期的国益のバランスを考える視点も重要です。
選挙で議員を選ぶことと日常生活を結びつける
選挙権の行使と日常生活は密接に関連していますが、多くの若者はその繋がりを実感できていません。
例えば大学の授業料、アルバイトの最低賃金、奨学金制度などは政治決定によって大きく左右されます。
選挙で選ばれた議員が決める政策が、私たちの生活に直接影響するのです。
具体的には、地方選挙で選ばれる首長や議員は公共交通機関の運行頻度や学校施設の整備など、地域の生活環境を決定します。
また国政選挙の結果は、消費税率や社会保障制度など国全体の政策方針を決めることになります。
こうした関連性を理解することで、「政治は自分には関係ない」という意識から脱却できます。
小論文では自分の生活と政治の接点を具体例で示しながら、選挙権を行使する意義について論じることが効果的です。
よく分からないという場合も、あなたが生きづらさ、そこまでいかなくとも日常生活で不便だと感じていることは、あなたのせいではなく、もしかすると政治に課題があるから、行われている政策に課題があるからかもしれません。
こう思って調べてみると○○の政策が行われていて、どういった仕組みで行われているのか、現在の与党の中でもどういった人たちによって行われているのかを調べてみる。
そこで選挙で別の人を選べば、その政策を変えられるかもしれない。そうだとなると自然と選挙に行こうと思いますよね。
こういった日常生活の出来事と選挙を結びつけるように考えると小論文でも書きやすくなるでしょう。
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