大学入試や就活の受験で、「小論文が必要になったけど、どう勉強していけばいいの?」「塾や予備校に行くお金もないし、そもそも小論文の独学って可能なの?」と思っている人も多いかと思います。
結論から言えば、小論文の独学での合格は十分可能です。
ただし、きちんと小論文の対策が書かれた参考書を選ぶことと信頼できる添削者がいて、はじめて独学での合格が可能となります。
では、小論文の対策は何から始めるとよいのか、準備や学習方法のポイント、おすすめの参考書などから、初心者でも十分可能な小論文の独学法について見ていきたいと思います。
小論文の独学は可能か?
冒頭でも書きましたが、小論文の独学による合格は十分に可能です。
ただし、適切な準備と方法、適切な練習法で書く訓練をすることで可能だという条件が付きます。
しかし、これは難しい方法ではなく、きちんと身に付けるかどうかだけの問題なので、しっかり見ていきましょう。
まず書く時間を十分に確保する
まず小論文の独学を進める上で最も必要なことは、準備や書く練習をするための時間をきちんと確保することです。
時間としてはできれば試験本番の半年、最低でも3か月前という期間を確保してください。
試験本番の1~2か月前だと、いくら適切な方法を知っても、小論文のきちんとした書き方を身に付けるのはさすがに難しいですし、高校生ならば1,2年生のうちから準備と練習ができればなお良いです。
高校3年生ならば、1学期が始まってからすぐに準備に取り掛かれば、後で他の受験科目に振り分ける余裕も出てくるでしょう。
大学生の就活でも、早ければ3年生の秋ごろから準備を始める、遅くとも4年生の新学期から始めると、きちんとした小論文の書く力が身につくので、事前準備や書くための時間はしっかりと確保してください。
◎時間の確保
準備手順の間違い
「時間は確保した。じゃあ、書いていけばいいのか」ではありません。
次に行うことは、あなたの志望する大学や企業の過去問を入手することです。
この過去問を数年分入手することで、問題形式や制限時間、書く文字数という志望先の試験形式を把握します。
この段階で過去問を解く必要はなく、というよりもいきなり過去問をもとに書くことはできないので、あくまで志望先の試験形式を把握するにとどめます。
小論文対策は何から始めるといいの?
小論文の対策は、適切な方法を知って書く練習をする必要がありますが、より大切なことは練習の手順を間違えないことです。
ここを間違えると、いくら適切な練習法を知っても練習する時間が足りなくなるなど、志望先の問題に合わせた小論文を書くことが難しくなるので、きちんと見ていきましょう。
過去問を入手する
くどいようですが、小論文の書く準備段階として、あなたの志望先の過去問を入手します。
大学入試ならば赤本や大学のホームページを見て把握する、就活に臨む大学生ならば企業のホームページを見たり、学内の就職課で志望企業の小論文の過去問がないか聞いて見ます。
もし、これらの方法でも分からない場合は、志望先の大学や企業などのホームページの「お問い合わせ」欄で、「過去問の送付を受け付けているか」を聞いてみましょう。
それでも過去問が入手できない場合は、他大学の同学部や同業他社で公開されている問題を入手します。
ここは入手できない場合は仕方がないですが、できる限り志望先の数年分の過去問を入手しましょう。
適切な参考書を選ぶ
小論文の独学は可能だとはいえ、いきなり自分流の書き方で小論文が書けるはずはないので、書く方針となる参考書を入手しましょう。
多くの受験生がサイトや書店で小論文の参考書を見て、適当に表紙や中身のよさそうな参考書を選んで買っているはずです。
ただ、書店にある小論文の参考書を隅々まで見て、今現在も新刊が出されると必ず中身をチェックする私からすると、小論文の参考書の97%以上は、きちんと書けるようになる方法を示してはいません。
したがって、受験生が適当に選んだ参考書では、制限時間などのテクニックの面でも、きちんとした小論文は書けないという厳しい現実があります。
後ほど、他の「小論文の書き方」の記事では、ほとんど載らないオススメの参考書をご紹介します。
参考書は独学での書く大方針となるので、くれぐれも適当に選ばないようにしましょう。
書く練習をする
過去問を入手して、適切な参考書を選んだら、あとは書く練習をしていくだけです。
過去問から試験の問題形式に合わせた練習もする必要がありますが、とにかく書く練習をしなければ小論文は上達しません。
いきなり800字くらいの文字数を書くことは難しいので、まずは参考書の書き方をもとに「自分の考え」と「なぜそう考えたのか」という理由を考えて書きましょう。
まずは100~200字、それよりも少ない数十文字でも構わないので、問題の聞いていることにはすべて答える姿勢で書く練習をしていきます。
そこから自分の考えやその根拠の具体例、他の考えなども踏まえたうえで、「自分はどう考えるのか?」ということを考えながら書く練習をしていくと、小論文の試験でよく課される800~1000字の文字数はあっという間に埋まります。
試験での文字数が十分に書けるようになったら、今度は時間を意識して、試験本番までに制限時間内に書けるようにしておきましょう。
小論文の対策が書かれた参考書の選び方
小論文の参考書選びは重要だと言いましたが、「じゃあ、どの参考書がいいの?」とみなさんは思っているはずです。
ここでは小論文の参考書選びの重要性と他では、なかなか紹介されないオススメの参考書を紹介します。
この記事を読んでいる人には、ぜひ小論文の試験で合格を勝ち取ってもらいたいので、ここで紹介する参考書をもとに、まずは書く練習をしてみてください。
参考書は適当に選ばない
この記事を読んでいる受験生のみなさんには、小論文が書けるようになってほしいので、口酸っぱく言いますが、書店やインターネットで販売されている小論文の参考書は適当に選んではいけません。
先ほども言いましたが、小論文の参考書の97%以上は、それをもとに書く練習をしてもきちんとした小論文が書けるようにならないからです。
この97%以上の小論文の参考書は、書き方のノウハウや制限時間内に書くテクニック的な面からも、合格できる小論文の書き方が示されていません。
これはインターネットの記事でもだいたい同じです。
かりに書店にある小論文の参考書の50%が、しっかり書けるようなノウハウを備えた本であれば、適当に選んでも2分の1の確率で、運よく書ける参考書にあたることはあるでしょう。
しかし、97%以上の参考書が書けるようにならないものならば、適当に選べばほぼ外れるということです。
したがって、きちんと小論文の書き方を知っている指導者が選んだ参考書をもとに、独学でも書く練習をする必要があります。
おすすめの参考書4選
「じゃあ、おすすめの小論文の参考書は何なのよ」ということですね。
私の著書も含め、以下に示します。
➀ 飛田 弘一著『ゼロから始めて自然と書ける、小論文の手引き』(パブフル)
小論文の基本的な書き方や考え方、物事の調べ方や実際に試験で書く時間配分なども詳細に書いています。
手前味噌ですが、小論文の基本の書き方は、とりあえずこれ一冊で十分です。
文字通り、小論文の「書き方や考え方」にかんする非常に優れた本です。
問題に対してどう考えていけばよいのか、物事を「批判的に考える」とは、どういうことなのかが的確に示されています。
小論文を書く練習の仕方や試験での書く時間配分など、テクニックの部分は示されておらず、これ1冊ですべて小論文が書けるわけではありませんが、書く考え方を知るには非常にオススメの本です。
③ 大堀 精一(監修)つるべおきの(著、イラスト)
④ 大堀 精一(監修)つるべおきの(著、イラスト)
信頼できる添削者を見つける
最後に、独学で合格する小論文を書くためには信頼できる人の添削が必須です。
書いたものを書きっぱなしにするのは、問題を解いて答え合わせをしないのと同じで、書いた答案のどこが良くて、どこが改善点なのかが分からないと、合格できる小論文が書けるようにはなりません。
では、添削してもらう人をどう探せばよいのか、どういう視点で評価する人に添削を頼むべきなのかを見ていきたいと思います。
学校の先生が基本
小論文の添削をしてもらう人は、やはり身近には自分の通っている学校の先生に頼むことが一番です。
ただ、よく小論文の添削というと国語科の先生に頼みがちですが、国語科の先生でなくてもかまいません。
国語科の先生は、文学的な視点も持っており、人によってですが小論文の視点ではない点で評価されることもあるので、論理的な視点では政治や経済を扱う社会科の先生に添削をお願いしてもよいでしょう。
また「無料添削アプリ」や「チャットGPT」というのも学習させればある程度の添削をしてくれます。
しかし、まだ人間の方が信頼性は高いので、学校の先生や知り合いの大人など身近な信頼できる人の添削を受けた方がよいでしょう。
添削者の評価する視点を見る
添削する人も様々なので、その人が小論文のきちんとした評価のポイントを押さえているかどうかを見て、これからも添削を頼むのか、それとも別の人に変えるのかを判断する必要があります。
簡単に3つほど添削する人の評価ポイントを、以下に示します。
- 自分の意見がきちんと根拠(理由)に裏づけられているかで評価しているか
- 文章の誤字・脱字、表現方法の間違いがないかどうかを見ているか
- 文章の良い点、改善点を具体的に上げてアドバイスしてくれるか
これら3つの点できちんと評価してくれる人を添削者に選びましょう。
コメント