「志望理由書を書けと言われても、何を書けばいいかわからない」「800字も書く内容が思い浮かばない」そんな悩みを抱えていませんか?
実は、志望理由書には明確な書き方のルールと構成があり、それに従えば誰でも説得力のある文章が完成します。
大学入試でおける志望理由書の例文から具体的な書き方のルールまで、本記事では、あなたが「書けない」から「書ける」に変わる志望理由書の作成方法を詳しく解説しています。
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大学入試の志望理由書(800字の例文)
志望理由書は大学入試における重要な書類の一つです。
ここでは志望理由書の基本的な知識から実際の例文まで、具体的に解説していきます。
志望理由書とは
志望理由書は、総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)において、ほぼ全ての大学で提出を求められる重要な書類です。
大学によっては自己推薦書やエントリーシートという名称で呼ばれることもあります。
この書類は一次選考の書類審査で合否を左右するだけでなく、面接試験でも資料として活用されるため、入試全体の結果に大きな影響を与えます。
志望理由書の質によって、受験生の熱意や適性、将来性が評価されるのです。
AOや推薦入試を考えている人なら、手を抜けない書類ですね。
何を書くのか
- なぜその大学・学部を選んだのかという具体的な理由
- なぜその学問分野を志望するのかを、自身の体験や価値観と結びつけて説明
- 入学後の学生生活と卒業後の将来ビジョン
志望理由書では主に3つの要素を明確に示す必要があります。
まず、なぜその大学・学部を選んだのかという具体的な理由です。単に「興味があるから」ではなく、その大学の特色やカリキュラム、教授陣の研究内容などを踏まえた説得力のある動機を述べましょう。
次に、なぜその学問分野を志望するのかを、自身の体験や価値観と結びつけて説明します。
最後に、入学後にどのような学生生活を送り、卒業後はどんな社会人として活躍したいかという将来のビジョンを描くことが重要です。
これらの要素を一貫性を持って組み立てることで、説得力のある志望理由書になります。
大学側が見ていること
- 過去の実績と経験
これまでの学校生活で何に取り組み、どのような経験を積んできたかという過去の実績。部活動や学習成果、ボランティア活動などを通じて培った能力や人格を見極める - 入学後の明確な目標
入学後にその大学で何を学び、どのような活動をしたいかという明確な目標。大学の教育方針や特色と受験生の希望が合致しているかを判断する - 卒業後の進路と社会貢献への意欲
卒業後の進路や社会貢献への意欲。大学での学びを社会でどう活かしたいかという将来性を評価し、大学の教育成果として期待できる人材かを見極める
大学側は志望理由書を通して、受験生の3つの側面を重点的に評価しています。
第一に、これまでの学校生活で何に取り組み、どのような経験を積んできたかという過去の実績です。部活動や学習成果、ボランティア活動などを通じて培った能力や人格を見極めようとします。
第二に、入学後にその大学で何を学び、どのような活動をしたいかという明確な目標です。大学の教育方針や特色と受験生の希望が合致しているかを判断します。
第三に、卒業後の進路や社会貢献への意欲です。大学での学びを社会でどう活かしたいかという将来性を評価し、大学の教育成果として期待できる人材かを見極めています。
800字の例文
志望理由書のイメージをつかむために、800字で書かれた例文を見てみましょう。
私は貴学の経済学部経営学科への入学を強く希望する。高校時代に参加した地域の商店街活性化プロジェクトで、地元企業の経営者の方々と接する機会があった。そこで多くの中小企業が人材不足や資金繰りの問題を抱えている現状を知り、経営学の知識によってこれらの課題を解決したいと考えるようになった。特に印象的だったのは、ある老舗菓子店の三代目店主が「伝統を守りながらも時代に合った経営をしたいが、具体的な方法がわからない」と話されていたことである。この体験から、理論と実践を両立できる経営学を学びたいと思うようになった。
貴学を志望する理由は三つある。第一に、中小企業経営論の分野で著名な田中教授のゼミナールで学べることである。同教授の著書『地域企業の持続可能な経営戦略』を読み、地域密着型企業の経営改善に関する研究に深く感銘を受けた。第二に、貴学独自の産学連携プログラムが充実していることである。実際の企業と連携した課題解決型の授業を通じて、実践的な経営スキルを身につけられると考える。第三に、少人数制の演習科目が多く、教授や仲間との密接な議論を通じて多角的な視点を養えることである。
入学後は、経営学の基礎理論をしっかりと学ぶとともに、マーケティングや財務管理の専門知識を深めたい。また、田中教授のゼミナールに所属し、中小企業の経営課題について研究を行いたい。さらに、学外でも経営者団体の勉強会に参加するなど、実務家との交流を積極的に図る予定である。
将来は中小企業診断士の資格を取得し、地域企業の経営コンサルタントとして活動したい。特に、伝統的な技術や文化を持つ企業が現代の市場環境に適応できるよう支援し、地域経済の発展に貢献することが私の目標である。貴学での学びを通じて、この目標を必ず実現したい。(741字)
【書くポイント】
- 「です・ます調」「だ・である」調どちらかに統一する
- 大学のことは「貴学」と書く
- 大学のカリキュラムやゼミは具体名を挙げる
- 何を学んで将来どう活かすのかを具体的に書く
大学入試の志望理由書の例文
志望理由書を書く前に重要なのは、しっかりとした準備と具体的な内容の整理です。ここでは志望理由書作成の手順を詳しく解説します。
現時点での将来の職業イメージを考える
志望理由書を書く前に、まず現時点での将来の職業イメージを明確にしましょう。
完璧に決まっている必要はありません。「AIの技術を活かして社会に貢献する仕事に就きたい」や「地域の課題解決に取り組む公務員になりたい」程度の方向性で十分です。
大学は学びながら視野を広げて将来像を考える場でもあるため、教授陣も無理に詳細な将来像を求めているわけではありません。
ただし、まったく方向性がないと志望動機に説得力がなくなるため、興味のある分野や関心を持った職業について考えてみることが大切です。
この職業イメージが志望学部や学科選択の根拠となります。
自分の興味のあることを考えてみる
将来の職業イメージが分からないという人は、自分の興味や関心について深く掘り下げてみましょう。
趣味や普段インターネットでよく調べること、テレビでつい見てしまう番組のジャンルなど、日常生活の中にヒントが隠れています。
例えば、経済ニュースをよく見る人は経済学部、国際情勢に関心がある人は国際関係学部といった具合です。
また、高校時代の授業で印象に残った内容や、部活動・ボランティア活動での体験も重要な材料になります。
小中学校時代の出来事も振り返ってみてください。これらの経験や興味が、なぜその学部・学科を志望するのかという根拠になり、志望理由書に説得力を与えます。
何を学ぶ必要があるのかを考える
志望する分野が決まったら、その目標を実現するために何を学ぶ必要があるのかを具体的に考えましょう。
大学のウェブサイトでカリキュラムや講義名を調べ、「地域経済論」「マーケティング論」「統計学」など、固有名詞を使って学びたい内容を明確にします。
例文
将来地域の課題解決に取り組む公務員を目指すため、貴学では地域経済論やまちづくり論を学びたいと考えている。特に統計学では、高校時代に力不足を感じたアンケートの集計や図表の扱い方を身につけ、3年次には○○教授の地域経済ゼミで、地元商店街の活性化について研究したい。
このように具体的な講義名や教授名、研究テーマを盛り込むことで、その大学で学ぶ明確な目的を示せます。
徹底的に具体的に考える
志望理由書で最も重要なのは具体性です。抽象的な表現では他の大学でも通用する内容になってしまい、志望動機の説得力が失われます。
残念な例文:
私は文学部を志望している。小説を読むのが好きで、大学では幅広く日本や世界の文学を学びたい。様々な作品を通じて、人間の心について深く理解したいと考えている。
OK例文:
私は貴学文学部日本文学科を志望する。高校で学んだ源氏物語の心理描写に感銘を受け、古典文学における人物の内面表現について研究したいと考えている。貴学では田中教授の古典文学ゼミで平安時代の物語文学を専門的に学び、卒業論文では源氏物語における女性登場人物の心理変化をテーマに研究したい。
具体的な教授名、研究テーマ、講義名を用いることで、その大学でなければならない理由が明確になります。
ここは「そこまで具体的に書くの?」というくらい、具体的に書きましょう。
そして大学名を変えれば他でも使える志望理由書の文章では、ダメだということですよ。
こうして試験本番までに、志望理由のことなら何を聞かれても答えられるくらいにしておいてください。
あなたが志望理由のことで「よくわからない」ところがあれば、合否を審査する教授も分からず、志望理由がハッキリしている人を合格させたくなるので。
志望理由書の書く構成
志望理由書を効果的に書くためには、適切な構成と徹底した準備が不可欠です。ここでは合格につながる構成方法と重要なポイントを解説します。
構成は4段落
志望理由書は4段落構成で書くのが最も効果的です。
第一段落では志望動機の要点を簡潔に述べ、読み手に全体像を示します。
第二段落では志望したきっかけや背景となる体験を具体的に記述し、なぜその分野に興味を持ったのかを説明しましょう。
第三段落が最も重要で、学びたいことと他大学にない特色を詳しく書きます。具体的な講義名、教授名、研究テーマを盛り込み、その大学でなければならない理由を明確にしてください。
第四段落では、大学で学んだことを将来どう活かすかという展望を述べて締めくくります。この構成により、論理的で説得力のある志望理由書が完成します。
先ほど紹介した800字の例文に当てはめると
(志望動機の要点)
私は貴学の経済学部経営学科への入学を強く希望する。高校時代に参加した地域の商店街活性化プロジェクトで、地元企業の経営者の方々と接する機会があった。そこで多くの中小企業が人材不足や資金繰りの問題を抱えている現状を知り、経営学の知識によってこれらの課題を解決したいと考えるようになった。特に印象的だったのは、ある老舗菓子店の三代目店主が「伝統を守りながらも時代に合った経営をしたいが、具体的な方法がわからない」と話されていたことである。この体験から、理論と実践を両立できる経営学を学びたいと思うようになった。
(志望したきっかけや背景)
貴学を志望する理由は三つある。第一に、中小企業経営論の分野で著名な田中教授のゼミナールで学べることである。同教授の著書『地域企業の持続可能な経営戦略』を読み、地域密着型企業の経営改善に関する研究に深く感銘を受けた。第二に、貴学独自の産学連携プログラムが充実していることである。実際の企業と連携した課題解決型の授業を通じて、実践的な経営スキルを身につけられると考える。第三に、少人数制の演習科目が多く、教授や仲間との密接な議論を通じて多角的な視点を養えることである。
(学びたいことと他大学にない特色)
入学後は、経営学の基礎理論をしっかりと学ぶとともに、マーケティングや財務管理の専門知識を深めたい。また、田中教授のゼミナールに所属し、中小企業の経営課題について研究を行いたい。さらに、学外でも経営者団体の勉強会に参加するなど、実務家との交流を積極的に図る予定である。
(大学で学んだことを将来どう活かすか)
将来は中小企業診断士の資格を取得し、地域企業の経営コンサルタントとして活動したい。特に、伝統的な技術や文化を持つ企業が現代の市場環境に適応できるよう支援し、地域経済の発展に貢献することが私の目標である。貴学での学びを通じて、この目標を必ず実現したい。(741字)
少しの曖昧さもNG
志望理由書では曖昧な表現は絶対に避けなければなりません。練習段階では不明確な部分があっても構いませんが、本番提出前には志望動機について何を聞かれてもはっきりと答えられる状態まで考えをまとめておく必要があります。
「なんとなく興味がある」「幅広く学びたい」「様々なことを研究したい」といった抽象的な表現では、大学側に本気度が伝わりません。
なぜその学部なのか、なぜその大学なのか、将来何をしたいのかという問いに対して、具体的な根拠を持って回答できるよう準備しましょう。
少しでも「どうしてだっけ?」と思う部分があれば、その点を徹底的に掘り下げて明確にすることが重要です。
志望する大学のことをよく調べる
志望理由書を書く前に、志望大学について徹底的に調べることが重要です。
大学のホームページやパンフレットを詳しく読み、カリキュラムの特徴、教授陣の研究分野、施設設備、就職実績などを把握しましょう。
オープンキャンパスに参加すれば、実際の雰囲気や在学生の声を聞くことができ、より具体的な志望理由を書けるようになります。
特に重要なのは、他大学の同じ学部のパンフレットと比較検討することです。複数の大学を比べることで、志望校独自の特色や強みが見えてきます。
この比較検討により「なぜ他の大学ではなく、この大学を選んだのか」という問いに対する説得力のある答えを用意できるのです。
志望理由書の書き方やルール
志望理由書を書く際には、内容だけでなく形式面でも守るべきルールがあります。ここでは実際の書き方における重要なポイントを解説します。
基本は原稿用紙の使い方
志望理由書を書くときの基本ルールは、原稿用紙の使い方と同じです。
以下、原稿用紙の使い方をおさらいしておきましょう。

ボールペンで書く
志望理由書は消すことができないボールペンで書くのが基本です。
正式な書類では、第三者による改ざんを防ぐために消せないペンの使用が求められています。
油性ボールペンでも水性ボールペンでも構いませんが、フリクションボールペンのような消せるペンは絶対に使ってはいけません。
書き心地が良く、インクが滲まないボールペンを選ぶことをおすすめします。
下書きの際は鉛筆やシャープペンシルを使用し、清書時にボールペンで丁寧に書き写しましょう。
読み手である大学の先生方は何十枚、何百枚もの志望理由書を読むため、読みやすい文字で書くことが大切です。
達筆である必要はありませんが、文字の丁寧さも評価の一部と考え、時間をかけて清書しましょう。
ここは試験会場で書かなければいけない小論文の試験とは異なるので、ある程度の時間をかけても構いません。
間違ったら書き直し
志望理由書で書き間違えた場合は、基本的に最初から書き直すのが原則です。
修正テープや修正液の使用は避けるべきで、清潔で読みやすい書類を提出することが重要です。
ただし、1箇所程度の軽微な間違いであれば、二重線で消して正しい文字を上に書く訂正方法も認められる場合があります。
しかし、これもできれば避けた方がいいです。一か所でも訂正した箇所があると印象がよくないからです。
事前に募集要項で訂正方法の指定があるかを必ず確認してください。間違いを防ぐためには、まず鉛筆で薄く下書きをしてからボールペンで清書し、その後消しゴムで鉛筆の跡を消すという方法が効果的です。
同じ漢字を何度も間違える場合や、5箇所以上の訂正がある場合は、迷わず書き直しましょう。
私も志望理由書を見る試験官なら、まず見た目で間違いがない文章の方が第一印象がよくなります。
そのあとは内容を見ますが、形式的なことでも印象はよくしておきましょう。
NGワード
- 「様々な」「幅広く」「多くの」といった曖昧な表現は避ける
- 「様々な分野を学びたい」→「経営学、マーケティング論、統計学を学びたい」
- 「幅広く研究したい」→「中小企業の経営課題について研究したい」
志望理由書では「様々な」「幅広く」「多くの」といった曖昧な表現は避けるようにしましょう。
これらの言葉は具体性に欠け、どの大学の志望理由書にも使える汎用的な表現だからです。
「様々な分野を学びたい」ではなく「経営学、マーケティング論、統計学を学びたい」というように、具体的な講義名や分野名を明記しましょう。
「幅広く研究したい」ではなく「中小企業の経営課題について研究したい」と具体的なテーマを示すことが重要です。
また「多くの人と交流したい」ではなく「経営者団体の勉強会に参加して実務家との交流を図りたい」というように、具体的な活動内容を述べることで説得力が生まれます。曖昧な表現は志望動機の本気度を疑われる原因となるため注意が必要です。
そして練習段階では信頼できる大人の添削を受けて、本番の提出前にも学校の先生などに必ず確認してもらいましょう。

上の添削サービスを選ぶ場合は、志望理由書も添削の対象になっているかをよく確認しましょう。
このように志望理由書は、あなたがその大学に入りたい動機や何を学び将来に活かすのかという熱意を伝える絶好の文章です。大学側にあなたの気持ちが最大限に伝わるように、本記事の内容を踏まえてしっかり書いていきましょう。
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