「小論文が苦手すぎる!」「あなたの考えを述べなさい、と言われても自分の考えがない!」という受験生が多くみられます。
私も大学受験のときに、同じ気持ちでしたからよく分かります。
しかし、小論文が苦手なのは本当なのか?
私の経験からも、義務教育を終えた人で本当に小論文を書く能力に欠けた人はほとんどいないと考えています。
作文もそうですが、本当は書く訓練を受けてこなかったから、「何をどう書いてよいか分からない」だけのことであり、「あなたの考えを述べなさい」と言われても書き出しがそもそも分からないので、書くことができないだけのことです。
この記事では、そんなに小論文に苦手意識を持っている人のために以下のことをお伝えします。
- 小論文が苦手すぎるワケ
- 小論文が書けない人の4つの特徴
- 小論文で「自分の考えがない!」は本当か?
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小論文が苦手すぎるワケ
ここでは小論文が苦手すぎるという人のために、なぜ小論文に苦手意識を持つのかについて見ていきます。
苦手意識を持つ原因が分かれば、「なるほど!自分の能力不足じゃないのね」と気持ちが楽になり、小論文の苦手意識の克服に役立つでしょう。
書き方を習ったことがないから
私もそうでしたが、小学校、中学、高校と小論文のきちんとした書き方を習ったことがない人がほとんどだと思います。
そもそも作文の書き方すらきちんと習ったことがなく、このような状態でいきなり「小論文を書きなさい!」「あなたの考えを書きなさい!」と言われても無理な話です。
例えば、アメリカやフランスなどの欧米では、日本の小論文にあたる「エッセイ」の書き方を小学校低学年のうちから学びます。その中で書く型が提示されて、その型通りに書く訓練を受けるそうです。
欧米では必然的に書く力が身につき、書くことに苦手意識を持つ人はほとんどいないのではないでしょうか。
一方、日本での文章教育はテーマを与えて「さあ、書きなさい!」という場合がほとんどで、そう言われても「書けない!」というのは当然のことです。
文章を書くことに慣れていないから
きちんとした小論文の書き方を教わってない、ことと同時に書く練習も高校までのほとんどの学校では、せいぜい週に1~2時間書く時間があるかないかの程度でしょう。
このように書く練習の時間すら満足に確保されていないので、当然書き慣れないわけです。
そして書き慣れなければ、苦手意識を持ち上手く書くことはできません。
何をどう書いてよいか分からないから
小論文のきちんとした書き方を教わっていない、書く練習時間もロクに確保されないとなると、問題を前にしても「何をどう書いてよいか分からない!」というのも当たり前ですよね。
小論文に苦手意識を持つ受験生のみなさんが、別に文章を書く能力に欠けるわけではなく、日本の高校までの文章教育が、あなたに苦手意識を持たせる原因だということがお分かりいただけたと思います。
小論文が書けない人の4つの特徴
次に小論文が書けない人の4つの特徴について見ていきます。
「もう書けない人の特徴はいいから!」い言わずに、この4つの特徴と反対のことを心がければ小論文が書けるようになっていくので、しっかり見ていきましょう。
➀ 一文が長い
私も中学での作文でやってしまいがちでしたが、あれもこれもと内容を盛り込みすぎて一つの文が長くなりすぎることです。
「一つの文は60字以内、400字詰めの原稿用紙でいえば三行以内に収めなさい」とよく言われます。
まあ、これはその通りなのですが、一番は内容を盛り込みすぎることが原因なので、1つの文では1つの話題に絞って、そのキーワードとなる言葉は3語以内に収めます。
首都機能移転のメリットという1つの話題に絞って、そのメリットの内容を「首都の一極集中の是正」「地域間の公平性の確保」「災害時のリスク分散」と3キーワード以内に収めています。
② 読点の使い方が正しくない
読点の打つ位置の誤りというのも小論文が書けない人の特徴の1つです。
「読点なんて適当に打てばいいでしょ」と思うかもしれませんが、この打つ位置によって読みやすさや文章の意味が変わってしまいます。
➀ 私は、兄と父の職場を見学した。
② 私は兄と、父の職場を見学した。
同じ文章でも、① 私は「兄と父親」が働いている職場を見学したという内容になりますし、② 「私は兄と」2人で父親の職場を見学したという意味の内容になります。
読点1つ打つ位置が違うだけで、内容が変わって採点者には別の意味に受け取られることもあるので気をつけましょう。
また読みやすい小論文にかかわらず、読みやすい文章というのは読点が適切な位置に打ってあります。
「じゃあ、読みやすい位置ってどこなの?」ということですが、書いた文章を読んで息継ぎをする場所が基本的には読点を打つ位置となります。
新聞や「ハウツー本」などの読みやすい文章を読んでみると、基本的に息継ぎをする位置に打ってあるはずです。
ただ、すべて息継ぎをする場所で読点を打つわけではなく、文章の体裁なども考えて読点を打つようにしましょう。
③ 誤字・脱字の多さや言葉づかいが不適切
これも小論文が書けない人の特徴の一つで、誤字・脱字の多さや言葉づかいが不適切なことが挙げられます。
「そんな細かいところより内容を見てよ!」と言いたくなりますが、あなたも人が書いた文章が同じだったらどうでしょう?
読んでいくうちに読む気が失せてくるはずです。
これまで多くの受験生の答案を見てきた採点者の人であれば、なおさら読む気が失せます。
また、これでは形式的な採点基準で減点を重ねることになります。
細かいつまらないところかもしれませんが、内容を見てもらうためにも気をつけましょう。
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④ 文末表現が統一されていない
小論文を書いていて初めのうちは「だ・である」調で書いていたのに、後半から「です・ます」調になってしまうなどです。
文末表現は読みやすさの点から、書き始めから終わりまで必ず「だ・である」調で統一しましょう。
小論文で「自分の考えがない!」は本当に?
「ぶっちゃけ、自分の考えなんてありません!」という声をよく聞きますが、「この文章を読んで何も思わなかった?」と聞くと、案外「〇〇だと思いました」としっかり答えは返ってきます。
そこで「小論文で自分の考えがない」というのは本当なのかについて見ていきます。
「自分にはない」と思い込んでいるだけ!
「この問題・この文章を読んで何を考えたの?」と聞くと、「何も考えが浮かびません!」と思考停止のような答えがよく返ってきます。
ところが「本当に何も思わなかったの?」と聞き直すと「〇〇だと思いました」と意外としっかり答えが返ってきます。
他の指導者の人も言っていますが、「まず、それを書けばええやん!」ですね。
もちろん、この思ったことをそのまま小論文の答案としては書けませんが、自分の考えを発見するきっかけとしては十分です。
あとは、そう思った理由や具体例を考えて、そう思った結論を自分の考えにまで高めて書けばよいということです。
「人が思いつかない発想をしなければ」という思い込み
よく「人が思いつかない発想をしないといけない」というのは世の中で言われることで、小論文の一部の参考書でも未だにこういう間違った発想を教える本はあります。
ただ、小論文はそういう斬新な意見や奇抜な発想を求めているわけではなく、ありきたりの考えでもよいので、そう考えるに至った中身を聞きたがっています。
それに社会経験がほとんどない高校生や大学生が、斬新な発想や奇抜な意見を思いつくことは無理であろうことは小論文の試験を実施する関係者の人は承知だということを認識しましょう。
かりに斬新な意見や奇抜な発想を思いつくとしても、理由や具体例をもとに考えた結果、斬新な意見や発想を考えついたのなら、結果として評価されるということです。
つねに「なぜ~なのか?」という疑問を持って調べ考える
課題文や問題を読んでいると、「えっ?どうして?」と思うことはありますよね。
その疑問は大切にしましょう。まずは自分で考えてみます。
次に本や新聞、インターネット検索などで調べてみます。あるいは自分で考えて「こうじゃないか」と考えたことの答え合わせを調べる過程で行います。
特にインターネット検索では、公的機関など信頼できる情報源のものかURLなどで確認してから見てみましょう。
調べて分かったことから、さらに自分なりに考えてみます。
それと練習で問題を読んでいるとき、分からない言葉はすぐに調べましょう。調べたら忘れないようにノートなどに書いておきます。
物事を見るときに「えっ?これはどういうことなんだろう」「なぜ~なのだろう?」「ここでこう言っているけど、本当なの?」という疑問を大切にして、調べ考え、その時点での自分の結論を書いてみましょう。
小論文「あなたの考えを述べなさい」の書き出し
「あなたの考えを述べなさい」って言われてもどう書けばいいか分かんないよ!
私も高校生や大学生の時に全くと言っていいほど小論文が書けなかったので、この気持ちはよく分かります。
しかし、まず書き始めの書き方さえ分かってしまえば、あとは意外にすんなりと書けるようになります。
その書き始めを課題文があるときとない時の例で見ていきましょう。
課題文があるときの書き出し
課題文があるときは、まず「要約しなさい」と問題にあれば指定の文字数以内で要約してから自分の意見を書いていきます。
要約が求められていなければ、課題文の内容を一文でもよいので簡単に踏まえたうえで書いていきます。
要約問題がない場合の書き方
例題:下の文章を読んで、あなたの考えを書きなさい。
あなたは「葬式」という言葉を聞いたとき、どのような光景を思い浮かべるだろう。亡くなった人を偲び、悲しみの涙が見られ、生老病死の中でもっとも悲しく、否定的なものと見られることが多い。ところが、アフリカのある民族では、色とりどりの棺に亡くなった人を入れ、そのまわりで人々が踊り、祭りでも行うかのように楽しく笑って死者を送るのだそうだ。それは、あの世でも故人が楽しく暮らせるように、現世の最期に笑って死者を送り出すという考え方からきている。日本では到底考えられないことだが、世界にはそういう考え方をする民族もいるのだそうだ。〔大学入試〕
課題文がないときの書き出し
課題文がないときは、聞かれていることズバリをまずは書きます。
「メリット・デメリットを踏まえて考えを書きなさい」ならば、「まず○○のメリットは〇〇」と、それぞれメリット・デメリットについて書いてから自分の意見を書きます。
「〇〇についてあなたの考えを書きなさい」ならば、「〇〇について(一般的な事実などの具体例、場合によってはあなたの体験なども踏まえ)」「したがって私は~だと考える」と書きます。
特に課題文がないときは、先に自分の意見を言っても良いですが、「聞かれていることズバリにまずは答えてから自分の意見を書く」ということを意識しながら練習をしましょう。
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