「小学3年生の読書感想文、どう教えたらいいの?」「子どもが原稿用紙を前に固まってしまう」
そんな悩みを抱えていませんか?
実は、小学生の読書感想文の書き方(3年生)でも、正しい手順とコツを知れば誰でも読む人に伝わる作文が完成します。
それには読書感想文の書き方ワークシートを活用した段階的なアプローチや、例文を参考にした具体的な指導が効果的です。
本記事では、本選びから構成の組み立て、親子で取り組める実践的なサポート方法まで、お子さんが「書けない」から「書ける」に変わる具体的なステップを詳しく解説しています。
小学生の読書感想文の書き方(3年生)
小学3年生になると、読書感想文の文字数が増え、より構成を意識した文章作りが求められます。
ここでは、親子で取り組める効果的な書き方のコツをご紹介します。
感想文を書くのは難しくない
読書感想文が難しく感じられるのは、書き方の手順が分からないからです。
多くのお子さんは「何を書けばいいの?」と悩んでしまい、原稿用紙を前に手が止まってしまいます。
しかし、実際は決まった流れに沿って書いていけば、どんなお子さんでも立派な感想文が書けるものです。
まず大切なのは、いきなり原稿用紙に向かわないこと。料理に下ごしらえが必要なように、読書感想文にも準備段階があります。
本を読む前の心構えから、読みながらのメモ取り、そして構成を考える段階まで、一つずつクリアしていけば自然と文章が形になってきます。
「書けない」という気持ちを「書ける」に変えるためには、正しい手順を知ることが何より重要なのです。
子どもが書きやすいテーマの本を選ぶ
本選びは、良い読書感想文を完成させる重要なポイントです。
お子さんが共感しやすく、自分の体験と重ね合わせられる内容の本を選ぶことで、感想文がぐっと書きやすくなります。
例えば、主人公が同じ年頃で学校生活や友達関係をテーマにした物語、習い事やスポーツを題材にした作品などがおすすめです。お子さんの趣味や興味のあることを題材にした作品でもよいでしょう。
避けたい本は、複雑なファンタジーや大人向けの内容です。想像の世界の話は楽しく読めても、自分の経験と結び付けにくく、感想を具体的に書くのが困難になりがちです。
また、伝記を選ぶ場合は、お子さんが興味を持てる人物かどうかを事前に確認してください。
本選びでは親が一方的に決めるのではなく、複数の候補の中からお子さん自身に選んでもらうことが、その後の読書への意欲にもつながります。
これは子供なら、なおさらです。親から押し付けられた本よりも、最終的に自分で選んだ本の方がしっかり感想文を書こうという気になりますよね。
構成は4ステップ
読書感想文の構成は、基本的に4つの段落で組み立てます。
第一段落では「この本を選んだきっかけ」、第二段落では「あらすじの簡単な紹介」、第三段落では「印象に残った場面とその感想」、第四段落では「読み終わっての気持ちや学んだこと」を書きます。
【感想文の構成】
• 第一段落:この本を選んだきっかけ
• 第二段落:あらすじの簡単な紹介
• 第三段落:印象に残った場面とその感想
• 第四段落:読み終わっての気持ちや学んだこと
この構成の良さは、何を書けばいいかが明確になることです。
お子さんは「次は何について書こう」と迷わずに済み、読み手にとっても分かりやすい文章になります。
文字数の配分は、第一段落と第二段落で全体の3分の1程度、第三段落で半分程度、第四段落で残りを使うのが目安です。
文字数の配分目安(800字)
- 第一段落と第二段落で270字前後
- 第三段落で400字前後
- 第四段落で130字前後
特に第三段落は感想文の中心部分なので、具体的なエピソードや自分の体験談を交えながら、しっかりと書き込むことが大切です。
本を読む準備をする
読書感想文を効率よく書くためには、本を読む前の準備が欠かせません。
付箋とノートを用意し、読みながら気になった箇所に付箋を貼っていきます。
小学3年生の場合は、本を3つの部分に分けて、前半・中間・後半にそれぞれ1枚ずつ、合計3枚の付箋を貼ることを目標にしましょう。
付箋を貼る基準は「何かしら気になった出来事があった場面」です。
主人公の行動に驚いた場面、感動した場面、自分だったらどうするか考えた場面などが該当します。
読み終わった後は、付箋を貼った部分についてノートに簡単なメモを書いておくと、感想文を書く際の材料になります。
「なぜここが気になったのか」「どんな気持ちになったのか」「自分の体験で似たことはあるか」といった観点でメモを取ると、後の執筆がスムーズに進むでしょう。
私も小学生、中学生のとき感想文や作文がうまく書けなかったので、このように事前にきちんと準備をしていたら書けたのかなと、やはり事前の準備が大切だなというのは身にしみて感じます。
読書感想文の書き方ワークシート
ワークシートを使えば、読書感想文が苦手なお子さんでも段階的に文章を組み立てることができます。
質問に答える形式で進めることで、自然と感想文の材料が集まり、親子で楽しく取り組めるでしょう。
4ステップにしたがってワークシートを作る
ワークシート作りは、4枚の白紙を用意することから始めます。
できればノートに書くと良いですが、チラシの裏でもかまいません。
1枚目には「なぜこの本を選んだの?」、2枚目には「どんなお話だった?」、3枚目には「一番心に残った場面はどこ?」、4枚目には「この本を読んで何を学んだ?」と上部に質問を書いておきましょう。
ワークシート例
1枚目(第一段落)
- 作品とタイトル
- 最初のきっかけ(なぜこの本を読もうと思ったのか?)
- 最初の印象
- 何を期待してその本を読んだの?
*1つずつ答える
2枚目(第二段落)
本のあらすじ(5W1H)
- (いつ、だれが、どこで、なにを、どうした、なぜ?) を書いてみる。
3枚目(第三段落)
感想・考え
- 気になったところ、印象に残ったこと(なぜ気になったの?、なぜ印象に残ったの?)
- もし自分が登場人物だったら、どう考える?(なぜそう考える?)
*それぞれ答えてみる
4枚目(第四段落)
まとめ
- 読む前と後では(考えなどが)どう変わった?
- 本を読み終わって分かったこと
- どんな人にオススメの本か
- 本の内容やそこで得た考えを、今後どんなことに活かせそうか?
これらの質問は、お子さんが迷わずに答えられるよう、分かりやすい言葉で書くのがコツです。難しい表現は避け、普段の会話で使うような自然な問いかけにしてください。
各ページには十分な余白を設け、お子さんが自由に書き込めるスペースを確保します。
事前に質問を用意しておくことで、親御さんも指導しやすくなり、お子さんも安心して取り組むことができるはずです。
初めは親が質問をしてあげる
最初のうちは、親御さんが積極的に質問を投げかけてサポートしてあげることが大切です。「主人公はどんな人だった?」「どんな気持ちになった?」といった具体的な問いかけから始めましょう。
お子さんが答えに詰まったときは、「楽しかった?悲しかった?」のように選択肢を示してあげると答えやすくなります。
会話をしながら進めることで、お子さんの考えを自然に引き出すことができます。
親御さんは相槌を打ちながら、「そうなんだね」「面白いね」と共感を示してください。
この段階では完璧な答えを求める必要はありません。お子さんが自分の言葉で表現しようとする姿勢を大切にし、安心して話せる雰囲気作りを心がけましょう。
慣れてくれば、お子さん自身が質問の意図を理解し、スムーズに答えられるようになっていきます。
子ども自身が自分で質問を投げかけるようにする
慣れてきたら、お子さんが自分で質問を読み上げ、自分なりに答えを考える習慣をつけていきましょう。
「えーっと、なぜこの本を選んだんだっけ?」と声に出して読むことで、頭の中で整理しながら答えを見つけることができます。
この自問自答のプロセスが、考える力を育てる重要なステップになります。
最初は親御さんが横で見守り、必要に応じてヒントを出してあげてください。
お子さんが一人で取り組めるようになったら、少しずつ距離を置き、自立して作業できるよう促しましょう。
質問を読む → 考える → 書くという流れが身につけば、読書感想文以外の作文でも応用できる力が培われます。
自分で問題を解決する経験を積むことで、お子さんの自信にもつながっていくでしょう。
親は質問しても応えに口出ししない
お子さんが答えを出したときは、すぐに訂正したり代わりに答えたりせず、まずはその答えを受け入れることが重要です。
たとえ答えが浅く感じられても、「面白かった」という感想には「どんなところが面白かったの?」と優しく深掘りしてあげましょう。
「なぜそう思ったの?」「他にも何か感じたことはある?」といった追加質問で、お子さんの中にある気持ちを引き出してあげてください。
親御さんの役割は、答えを教えることではなく、お子さん自身の考えを引き出すことです。
「それは違うよ」ではなく「そうなんだね、他にはどう感じた?」というように、お子さんの発言を否定せずに次の段階へ導いてあげましょう。
多少時間がかかっても構いません。お子さんが自分の言葉で表現できたときの達成感は、次への意欲につながる貴重な体験となるはずです。
読書感想文の書き方(例文や注意点)
実際の例文を見ることで、読書感想文の書き方がより具体的に理解できます。ここでは小学3年生レベルの例文と、下書きから清書までの流れをご紹介します。
例文1(『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』を読んで)
ぼくがこの本を読んだきっかけは、友だちがおもしろいと言っていたからです。駄菓子屋の話ということで、お菓子が大好きなぼくはとても楽しみでした。
この本は、ふしぎな駄菓子屋「銭天堂」の女主人紅子さんが、いろいろな人にふしぎな駄菓子を売るお話です。毎回ちがう人が主人公になって、その人にぴったりの駄菓子をもらいます。でも、きちんと言われた通りに食べないと、大変なことになってしまいます。
一番心に残ったのは、「型抜き人魚グミ」の話です。主人公の女の子が水泳をがんばっているのに、なかなか上手にならなくて悩んでいました。ぼくも習字を習っているけれど、うまく書けなくて困ることがあるので、その気持ちがよく分かりました。女の子は人魚グミを食べて泳ぎが上手になったけれど、調子にのって食べすぎてしまい、最後は大変なことになってしまいました。何事もほどほどが大切だと思いました。
この本を読んで、欲ばりすぎてはいけないということを学びました。何かをもらったときは、きちんと説明を聞いて、決まりを守ることが大切だと思います。これからは、何かをするときに「これで本当にいいのかな」と一度考えてから行動しようと思いました。
例文2(『エルマーのぼうけん』を読んで)
わたしがこの本を読んだのは、図書室で表紙の絵がかわいいと思ったからです。りゅうが出てくるお話ということで、どんな冒険をするのか楽しみでした。
この本は、エルマーという男の子が、どうぶつ島にとらわれているりゅうの子どもを助けに行く冒険のお話です。エルマーはお父さんからもらった地図を見て、一人で島に向かいます。島では、いろいろな動物たちがエルマーを困らせようとしますが、エルマーは持ってきた道具を上手に使って、みんなをうまくだまして進んでいきます。
わたしが一番すごいと思ったのは、エルマーがライオンに出会ったときのことです。ライオンがエルマーを食べようとしたとき、エルマーはくしとはさみを取り出して、ライオンの毛をきれいにしてあげました。するとライオンは喜んで、エルマーを通してくれました。わたしだったらこわくて逃げてしまうと思います。エルマーはとても勇気があって、頭もよくて、本当にすばらしいと思いました。
この本を読んで、困ったときでもあきらめずに考えることが大切だと分かりました。エルマーのように、いつも準備をしっかりして、みんなに優しくしていれば、きっと助けてもらえると思います。わたしもエルマーのような勇気のある人になりたいです。
例文3(『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』を読んで)
ぼくがこの本を読んだのは、ゾロリが大好きだからです。いつもおもしろくて、読んでいると笑ってしまいます。今回はどんないたずらをするのか、とても楽しみでした。
この本は、ゾロリとイシシとノシシの三人が、ドラゴンをたいじして、お姫様と結婚しようとするお話です。ゾロリは村の人たちに頼まれて、ドラゴンをやっつけに行きます。でも、実はドラゴンは悪いやつではありませんでした。本当の悪者は別にいて、ゾロリたちはドラゴンと協力して、悪者をやっつけます。
ぼくが感動したのは、ゾロリがドラゴンをたすけたところです。最初はドラゴンをたいじしようと思っていたのに、ドラゴンが困っていることが分かると、すぐに味方になってあげました。ぼくもクラスで、最初はきらいだった子がいたけれど、話をしてみるととてもやさしい子でした。見た目だけで判断してはいけないと思いました。
この本を読んで、人を見た目で判断してはいけないということを学びました。ゾロリのように、困っている人がいたら助けてあげる優しい心を持ちたいです。また、友だちと協力すれば、難しいことでもできるようになると分かりました。
まず下書きをする
いきなり原稿用紙に書き始めるのではなく、必ず下書きから始めましょう。
付箋を貼った場面やワークシートの回答を見返しながら、4つの段落構成に沿って文章を組み立てていきます。
第1段落では本を選んだきっかけ、第2段落ではあらすじ、第3段落では印象に残った場面とその感想、第4段落ではまとめを書きます。
• 第二段落:あらすじの簡単な紹介
• 第三段落:印象に残った場面とその感想
• 第四段落:読み終わっての気持ちや学んだこと
下書きの段階では、文字数や漢字の間違いを気にする必要はありません。
まずは言いたいことを全て書き出すことが大切です。
ワークシートに書いた内容をそのまま使って構いませんが、文章として自然につながるよう言葉を補ったり、順番を整えたりしてください。
各段落の分量バランスも意識しながら、第3段落を厚めに書くことを心がけましょう。
下書きができたら一度全体を読み返し、話の流れがスムーズかどうか確認してから清書に移ります。
下書きや清書をした際の確認事項
清書に入る前に、下書きの内容を必ずチェックしましょう。
まず構成面では、4つの段落がきちんと分かれているか、各段落で書くべき内容が含まれているかを確認します。
文字数については、小学3年生の場合400~1000字が目安となり、各段落のバランスも大切です。
第1・2段落で全体の3分の1、第3段落で半分程度、第4段落で残りという配分を意識してください。
言葉遣いの確認では、同じ語尾が3回続いていないか、小学3年生で習う漢字が正しく使われているかをチェックします。
また、「です・ます調」で統一されているか、段落の最初は一文字下げているかといった基本的なルールも忘れずに確認しましょう。
清書の際は、文字を丁寧に書くことはもちろん、原稿用紙の使い方(句読点の位置、改行のタイミングなど)にも注意を払う必要があります。
原稿用紙の使い方は、こちらも参考になります。(受験番号の部分は氏名のみ、名前の下は1文字空ける)

最後に全体を通して読み返し、読み手に伝わりやすい文章になっているかを確認してください
読書感想文Q&A
読書感想文を書く際によくある疑問や悩みを解決するためのQ&Aをまとめました。本選びから実際の書き方まで、おさらいのつもりで見てみましょう。
Q:本選びのキッカケが見つからない
本を選ぶ際は、お子さんの日常生活に近い題材から探してみましょう。同年代の主人公が登場する物語や、習い事・部活動をテーマにした作品なら自然と興味を持てます。
図書館や書店で実際に手に取り、表紙やあらすじを一緒に見ながら「面白そう」と感じる本を見つけることが大切です。
無理に話題作や推薦図書にこだわらず、お子さんが「読んでみたい」と思える直感を大事にしてください。
また、映画化された作品や友達が読んでいる本なども、読書のきっかけとして効果的です。
Q:「なぜこの本を読もうと思ったのか」が出てこない
本を選んだ理由は、どんなに単純でも立派な動機になります。
「表紙がかわいかった」「友達がおすすめしてくれた」「タイトルが気になった」といった素直な気持ちで十分です。
親御さんは「面白そうだと思ったのはなぜ?」「どんな話だと思った?」と具体的に質問してあげると、お子さんの中にある気持ちを引き出せます。選択肢を提示して答えやすくすることも効果的でしょう。
大人が考える「立派な理由」は必要ありません。お子さんの自然な反応や感覚を大切にして、その気持ちを言葉にする手助けをしてあげてください。
Q:ワークシートはひと項目、どのくらいで書けばいい?
ワークシートの各項目は、2~3文程度で十分です。完璧な文章を目指すのではなく、思いついたことを箇条書きのようにメモする感覚で取り組みましょう。
第1段落用は「友達がおすすめしてくれた。表紙が面白そうだった」、第3段落用は「主人公が頑張っているところ。自分も同じ経験がある」といった短いメモで構いません。
この段階では文字数や文章の完成度を気にせず、感想文を書くための材料集めに集中してください。ワークシートに書いた内容は、後で文章として組み立て直していきます。
Q:下書きはどのくらいで書いていけばいいの?
下書きでは最終的な文字数の1.2~1.5倍程度を目安に、思うことを自由に書き出してみましょう。小学3年生なら400~1000字程度で、削ったり調整したりする余裕を持たせることが大切です。
文字数で言えば、清書の指定文字数の3分の1から半分の文字数を目安に下書きを書いてみましょう。
下書きでは漢字の間違いや文字数の細かい調整は気にせず、まず言いたいことを全て出し切ることを優先してください。
ただし、あれも、これもと内容を盛り込みすぎると、清書のときに指定文字数を超えてしまうので、指定文字数の3分の1から半分の文字数を目安に下書きを書きましょう。
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