「慶應大の小論文は捨てる?」慶應の小論文は対策なしで良いという大ウソ!

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小論文の学習法

慶應は小論文を捨てると受かる

このような言説がまことしやかに言われています。

他の国公立の大学で「小論文の対策はしなくよい」という話はあまり聞かないですが、こと慶應という私立の雄である大学になると何となく納得しがちです。

慶應大は全学部の一般入試で小論文が必須科目になっていることで有名ですね。

とくに慶應SFCといわれる【総合政策学部】や【環境情報学部】の小論文の入試は、最難関と言われるもので「対策なし」とまで言われることがあります。

また、その次に難しいと言われている法学部の小論文も同様に言われることがあります。

しかし、これから対策をしようとしている慶應大志望の受験生は、これを鵜呑みにして本当に全く対策をしなくてもよいのか。

あるいは他の大学を志望する受験生も「慶應大の入試ですらそう言われるのなら、こっちの小論文の対策もムダじゃね?」となるのか。

これら「小論文の対策は本当にしなくても良いのか?」ということを慶応大の一般入試から見ていきたいと思います。

この記事を書いた人
飛田 弘一

小論文の独自研究家・指導者。

Amazonにて400部突破『小論文の手引き』の著者。

大学卒業後、書籍の誤字・脱字を確認する校正の仕事を経て、学生時代に小論文がまったく書けず受験で悔しい思いをした経験から、書店の小論文の参考書は延べ100冊以上を読み、また小論文の講座を30以上受講するなど、小論文の独自研究に没頭する。

そこで得た知見から、誰でも実践できる分かりやすい小論文の書き方を構築。

小論文が書けない人の気持ちを誰よりもよく分かる指導者を自任し、決して上から目線にならない丁寧な小論文の指導を心がけている。

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慶應は小論文を捨てると受かる?

慶應の小論文の対策をしなくても合格したという事実は、実際に多くの受験生にあてはまるのかについて見ていきたいと思います。

小論文を捨てて合格した人数は?

慶應大の小論文の対策をしなくも良いという人は、以下のことを挙げます。

「小論文対策は何もしなくても自分は受かった!」
「周りも受かっている!」
「自分が教えた人もそうだった!」

また、こういう人は「慶應を受けた人で自分の周りにゴロゴロいる!」と言います。

つい「慶應受かった人が言うのなら、そうなのか」と思ってしまいがちで、「そういう人の周りにもゴロゴロいるんだ。じゃあそうかもね」と納得しそうになります。

しかし、この「小論文ノー勉強で、慶應受かったぜ!」という人たちからは、では同じようにして合格した人が何人いるのかという数字が出てきません。

もっと言うと、具体的にある学部の全合格者の何割が「小論文ノー勉強」で合格したのかということです。

慶應大は全学部の一般入試で小論文があるので、2~3学部を抽出して、その学部ごとの全合格者のうち、どのくらいの人が本当に小論文の対策を全くとらずに合格したのか。

だいたい3年分くらい調査をしてみないと本当のところは分からないでしょう。

自分や周りの人が合格しているという理由

先ほど見てきたように

「慶應は小論文をノー勉強でも合格できる!」
「周りでそういう人がたくさんいる!」
「小論文ノー勉強の国公立大受験組でも、慶應を受けて合格している!」

確かに、これ自体間違いないのかもしれませんが、もしかするとそれはこの人たちの周りだけの出来事かもしれません。

ウソではないにしても、他の受験生にもあてはまるのかと言えば、それには疑問符が付きます。

小論文の対策が必要な理由

「小論文ノー勉強でも慶應は受かる!」ということに疑問がわいたところで、ここでは小論文の対策が必要な理由について見ていきます。

合格している人は無意識に小論文の対策をしている

小論文ノー対策・ノー勉強で慶應受かったぜ!」という人たちの話をよくよく聞くと、実は彼らは無意識のうちに小論文の対策をきちんとしています。

国語の授業で慶應大の小論文を実際に書いて添削を受けたり、塾で小論文の講座を受講していたりしています。

もちろん慶應の2,3年分の過去問によって書く練習もしており、「いやノー勉強・ノー対策やないやん」と言われてしまうでしょう。

それでも彼らは「いや特化対策はしてないし、小論文の練習が合格に直結したわけじゃない!」と言います。

う~ん、カッコつけるのもいいのですが、これから受験する後輩からしたら、どういうことを行って小論文の試験を突破したのかをスマートな塾生らしくきちんと分析して教えてくれた方が、ありがたいのではないでしょうか。

採点側の事情なんてハッキリ分からない

「慶應の小論文は捨てても良い」という実際の合格者の人の中には、その根拠として下の採点者の事情とやらを言います。

(おそらく採点を担当する)ある教授が

「受験の小論文は教授目線からすると論文にすらならない」

指導する立場からも「それはそうでしょう」と言いたくなります。

ですから小論文であって論文ではないし、そもそも高校卒業程度で論文ほどの内容が書けるのなら、そもそも大学など行く必要はありません。

東大であろうと、他の大学であろうと社会経験を満足にしていない新入生に、教授が「きちんとした論文だ!」と認めるほどの文章を書くことができないのは大前提です。

そうではなく、これから大学で必要になるレポートや論文を書いていく上での基礎が備わっているのかどうかを見るのが小論文の試験の目的です。

採点側がどの答案も同じように見えて、指定文字数の9割さえ書けば合格させてしまうような低レベルの採点しかできないのであれば、そもそも科目としての小論文の必要性は全くありません

このような採点側の事情など、ハッキリと分かるはずもなく、優劣がきちんとつくからこそ試験として小論文が取り入れられていると考えるべきでしょう。

学習した結果が見えにくいが差はつく!

社会や英語などの科目であれば、学習の成果が点数になってハッキリ表れます。

したがって学習もどこを重点的に行えばよいのか、その結果がどうなのかははっきりします。

一方、小論文は「こう書けば何点」という基準がないので、一見すると学習の効果が見えにくく対策や学習を行う意味がないように見えます

しかし、正しい方法で練習するのか、しないのかによってかなり差はつきます

そういう練習の成果が、「形式的な評価の基準」と「内容評価の基準」によって、採点され点数化されます。

これは慶應の小論文も例外ではないでしょう。

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小論文対策を「するか」「しないか」の二項対立ではない!

慶應の小論文の対策では、「ガチガチにやるのか?」「それとも全く対策しないのか?」という二項対立的に語られることがあります。

しかし「本当はどうなのか?」について、見ていきたいと思います。

コスパが悪いから対策しない

慶應の小論文の対策はコスパ(費用対効果)が悪いから、そんなの捨てて他の科目の対策にあてた方がいい!

たしかに「こう書けば何点」というのが小論文にはないので、一見コスパが悪いように見えます。

しかし、こう言っている人の理由をよく聞いてみると、「そうだろう」という推測の域を出ない答えしか返ってきません。

これはハッキリした基準が分からないから、だからコスパが悪いと言っているように見えます。

これが当てはまるのなら、どこの大学の小論文の試験もハッキリとした基準が分からず「国語や英語、数学などのように自己採点できず学習効果が確認できないのだから、小論文は勉強しても意味がない」となってしまいます。

小論文で合否が決まるからやる?

小論文の出来が良くなければ、それは不合格だ!

これも極端な言説です。

これは小論文のみが試験科目で、全てこの出来によって合否が決まるのならばその通りでしょう。

しかし、慶應はどの学部の一般入試でも小論文の他に1~2科目はあるので、どちらもバランスよく対策をとるというのがベストでしょう。

例えば、「対策なし」と言われる慶應SFC(総合政策学部・環境情報学部)の小論文も赤本の「傾向と対策」や他の対策できちんと学習し、本番で良い内容を書くことができれば、もう1科目の英語が多少悪くても合格はできます。

それは反対に、小論文の出来が多少悪くても、英語の点数が良ければ合格は可能だということです。

「小論文にすべてを賭けて対策をする!」「いやいや、小論文は捨てて他の科目の対策をとるべき!」という二項対立ではなく、小論文もそれ以外の受験科目もバランスよく対策を取るということでしょう。

対策しなくても合格した本当の理由

これまで見てきた慶應大の小論文の対策から、「対策なしで合格した」という人の「本当のところはどうなのか?」について見ていきます。

本当は対策をしている

「慶應SFCの小論文は対策なし、だから対策など無意味!」
「慶應の法学部の小論文も難しいから対策しない!」
「そもそも慶應の試験自体、小論文の対策は無意味!」
ここまで読んでくれたみなさんは、もうこれらが間違いだということは十分理解できたと思います。

実際「小論文ノー対策・ノー勉強でも慶應受かったぜ!」という人たちが、本当はきちんと対策を取って、過去問をもとに書く練習を繰り返した結果、他の科目の出来具合と併せて合格したというのが実情です。

私は慶應大を受験したことはありませんが、小論文の指導柄、赤本で全学部の問題を一通り読みました。

そこから慶應の小論文の問題は本当にレベルが高く「こんな問題を18~19歳の子に書かせるのか!」と感嘆したのを覚えています。

「中学レベルの感想文さえ書けるのか怪しい」日本の高校までの文章教育で、「全くのノー対策・ノー勉強」で適当に書いたところで、指定文字数の7~8割すらマス目を埋められないというのが慶應の小論文です。

これは他大学の小論文の問題でも同じことが言えるでしょう。

小論文の対策はマストではないが必要!

これまで見てきたように、慶應の小論文の対策も、その他の大学の小論文も「それにすべてを賭けて対策しろ!」ということではなく、他の受験科目と同じくらいきちんと対策を取る必要があるということです。

ただ、「小論文の対策しなくても合格した」という彼らは、決してウソをついているわけではなく、あくまで正直に自分の体験を語っているのでしょう。

しかし、それが決して多くの受験生にあてはまらず、結果的に大きなウソになっているということです。

それに慶應大やその他の大学でも、単に合格できればいいと考えるのならば、対策なしにたまたま「自分の興味のある問題が出て書きやすく」合格したでもいいかもしれません

しかし、大学入学後は、頻繁にレポートや論文など大学内での文章を書くことが求めらます

そのときに小論文の書く基礎や、その大学に合わせて学ぶ態度が身についていないと困るのはあなたになります。

「小論文は、全くのノー勉強でも慶應は合格できる」ということを鵜呑みにせず、慶應でもその他の大学でも特に小論文が受験科目にある皆さんは、入学後の書く基礎を身に付ける」つもりで小論文の対策と学習を行っていきましょう

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