小論文に取り組む多くの受験生や就活生が「800字も書けない…」と悩んでいますよね。しかし実際には800字はあっという間で、書くコツにしたがって書けば難しくありません。
本記事では、800字の小論文の基本構成とテンプレートを解説し、「小論文で800字も書けない」という悩みを解消します。
また小論文で「800字以内」とは、どのくらい書くべきか、800字のテンプレートを使った効果的な書き方まで、具体例を交えてご紹介します。
序論・本論・結論の3部構成で9割以上の文字数を目指し、制限時間内に説得力のある小論文を書けるようになりましょう。
今回学ぶこと
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小論文で800字も書けない
「書こうと思っても800字も埋まらない…」「何を書けばいいかわからず時間だけが過ぎていく…」小論文を前に多くの受験生や就活生がこのような悩みを抱えています。
しかし、小論文は基本的な構成と書き方のルールさえ理解すれば、誰でも書けるようになります。まず時間配分や構成の具体的な方法を知ることで、小論文への苦手意識を克服しましょう。
まず小論文の基本
小論文とは自分の意見とその根拠を論理的に述べ、読み手を説得するための文章です。800字という長さは400字詰めの原稿用紙2枚分に相当し、一見多く感じるかもしれませんが、基本構成に沿って区切れば書きやすくなります。
小論文の基本構成は「序論・本論・結論」の3部構成です。
序論では設問に対する自分の意見を明確に示します。前置きは不要で、1行目から自分の立場を明らかにすることが重要です。賛成か反対かを問われる問題では、どちらの立場を選んでも評価に影響しないので、自分が論じやすい方を選びましょう。
本論では序論で示した意見の理由と具体例を述べます。抽象的な説明だけでなく、社会で実際に起きている事例や自分の経験など、読み手が理解しやすい具体例を挙げることで説得力が増します。
800字の小論文では、本論に厚みを持たせるために反対意見とその反論を加えると文字数を確保しやすくなります。

小論文のルール
小論文を書く際には守るべきルールがあります。まず文体は「だ・である調」で統一し、一人称は「私」を使います。このようなフォーマルな文体を使うことで、論理的で説得力のある印象を与えることができます。
また、指定された文字数を守ることも重要です。「800字以内」と指定されている場合は、最低でも640字(8割)、理想的には720〜800字(9割以上)書くようにしましょう。
一方で、文字数オーバーは絶対にダメです。1文字でも超過すると減点対象になる可能性があります。
書き始める前に、課題文と設問をしっかり読み込むことも大切です。「自分の体験から」「グラフの結果を踏まえて」などの指示があれば必ず従い、問われていることに正確に答えるようにしましょう。
また、小論文は文章力だけでなく知識も問われるため、少子高齢化や教育格差など頻出テーマについては事前に背景知識を身につけておくことをおすすめします。

構成と時間配分(60分の場合)
800字の小論文を60分で書く場合、効率的な時間配分と文字数の目安を持つことが重要です。この文字数と時間で課題文はほぼありません。課題文がある場合はもう少し制限時間が長く設定されています。
まず設問を読み、自分の立場と根拠を整理します。1~2分はとっても良いですがそれ以上は時間を取らずにアウトラインを書きましょう。
この段階でアウトラインを5~10分以内で作り、小論文の大まかな構成を決めておくと後が楽になります。
次に40~50分で本文を書きます。
特に本論は文字数が多いため、「意見の理由→具体例→反対意見→反論」のように内容を小分けにすると書きやすくなります。原稿用紙に軽く目印を付けておくと、文字数の過不足を防ぐことができます。
残りの5~10分は見直しの時間です。誤字脱字のチェックはもちろん、論理展開に飛躍がないか、序論と結論で意見が一致しているかなどを確認します。
具体的には、序論で「賛成」と書いたのに結論で「反対」になっていないか、本論の内容が序論で示した立場をきちんと支えているかをチェックしましょう。
時間配分の目安としては、序論:本論:結論=1:3:1の比率を意識すると良いでしょう。このバランスで何度か練習すれば、時間内に適切な文字数で書けるようになります。

また書くアイデアが思いつかない人は、以下の記事を読んでみてください

そしてこれが一番大切ですが、たとえ指定文字数に到達できなくても、書く内容は必ず完成させて提出するようにしましょう。
小論文で800字以内は、どのくらい書く?
小論文で「800字以内」という指定を見たとき、どのくらいの文字数を書けばよいのか迷うことがあります。
たんに「以内」と書かれていても、実は書くべき文字数には目安があります。少なすぎると内容が薄いと判断され、制限ギリギリだと焦って書いた印象を与えかねません。
適切な文字数で書くことは、採点者に良い印象を与え、高評価につながります。
指定字数 | 理想的な文字数 | 最低限必要な文字数 | 超過時の影響 |
---|---|---|---|
800字以内 | 720〜800字(90%以上) | 640字以上(80%以上) | 即時失格・0点の可能性あり |
500〜800字 | 720〜800字(90%以上) | 640字以上(80%以上) | 即時失格・0点の可能性あり |
ここでは「800字以内」の小論文で、具体的にどのくらいの文字数を目指すべきかを解説します。
理想は9割以上
「800字以内」の小論文では、理想的には720字以上(9割以上)書くことを目指しましょう。
この文字数は単なる目安ではなく、採点者の意図を反映しています。「800字以内」という指定には「このくらいの文字数で、どのような内容が書けるのかを見たい」という採点者の意図が込められています。
余白が多すぎる答案は、「書くことがない」「考えが浅い」という印象を与えてしまいます。
文字数が少ないと、どうしても論の展開が物足りず、説得力に欠ける文章になりがちです。一方で、適切な文字数で書かれた答案は、準備をしっかりしてきたという意欲も伝わるでしょう。
私が採点者でも、文字数が少ないと「やる気が見えないな」と思いますし、9割は文字数を埋めてほしいという思いはあります。
実際の試験では、720〜800字のあいだで収めることが理想的です。
ただし、無理に文字数を増やすために冗長な表現や必要のない内容を詰め込むのは逆効果で「文字数稼ぎをしているな」と見抜かれてしまいます。簡潔で的確な表現を心がけながら、必要十分な内容を盛り込むようにしましょう。
最低8割以上
「800字以内」の小論文では、どんなに少なくとも640字(8割)は書くようにしましょう。これは最低ラインであり、可能な限り9割以上を目指すべきですが、時間が足りない場合などの目安になります。
8割を下回ると、明らかに印象が悪くなります。特に7割を切ると減点対象になりやすく、極端に少ない場合は採点対象外になる可能性すらあります。
「500字以上800字以内」のように下限が設定されている場合でも、単に下限を超えればよいわけではありません。下限ギリギリの答案は意欲が疑われ、評価を下げることがあります。
文字数が足りない原因の多くは、準備不足や論点の絞り込みができていないことです。
問題をしっかり読み、何について論じるべきかを明確にしてから書き始めましょう。
また、「序論・本論・結論」の3部構成を意識し、本論に十分な内容を盛り込むことで文字数を確保できます。

文字数別の評価目安
- 90%以上:理想的(800字なら720字以上)
- 80%以上:最低ライン(800字なら640字以上)
- 70%未満:減点対象になりやすい
- 極端に少ない:採点対象外になる可能性あり
- 下限ギリギリ:意欲不足と判断され評価が下がる
- 超過:即失格・0点の可能性(厳守すべき最重要ルール)
文字数オーバーは絶対ダメ
小論文で最も避けるべきミスは、文字数オーバーです。
「800字以内」と指定されている場合、801字でも超過でダメです。
文字数オーバーは即0点になる場合があり、最悪でも大幅な減点は避けられません。どんなに内容が優れていても、ルールを守れない受験者という評価になってしまいます。
試験中は緊張して文字数の計算を間違えやすいので、余裕を持って書きましょう。
具体的には、制限の9割を少し超えたところ(800字なら730字前後)で内容を締めくくれるよう構成を考えておくことをおすすめします。原稿用紙に書く場合は、文字数の目安となる場所に軽く印をつけておくとよいでしょう。
また、文字数オーバーを避けるためには、書き始める前に構成を決めておくことが大切です。「序論250字・本論400字・結論150字」のように、あらかじめ配分を決めておけば、書きながら調整できます。
時間配分も同様に意識し、見直しの時間も確保しましょう。ギリギリまで書いて超過するよりも、少し余白があっても完成度の高い文章の方が評価されます。
文字数管理のポイント
- 構成の目安:序論250字・本論400字・結論150字
- 完成目標:制限の90%超(800字なら730字前後)
- 原稿用紙使用時:文字数の目安位置に印をつけておく
小論文で800字を書くテンプレート
小論文は「相手に自分の意見を伝えるための文章」です。
800字の小論文では、論理的な構成と説得力のある内容が求められます。ここでは、PREP法(結論、理由、具体例または詳細説明、再度結論)に基づいたテンプレートと具体的な解答例を紹介します。
このテンプレートを活用すれば、読み手に伝わりやすい小論文を作成することができるでしょう。
テンプレート
小論文は序論・本論・結論の3部構成で書くと論理的で説得力のある文章になります。
序論では、テーマの背景や問題の概要を簡潔に述べた後、自分の立場や意見を明確に示します。「〜と考える」「〜すべきである」など断定的な表現を用いることで、読み手に自分の主張が伝わりやすくなります。
本論では、自分の意見の根拠を2点ほど提示します。
それぞれの根拠には具体例や客観的なデータを添えると説得力が増します。たとえば「実際に〜という事例がある」「〜という調査結果が示すように」などと書くことで、主観に偏った内容にならないよう注意しましょう。
また、反対意見への反論を盛り込むことでより説得力が高まります。
結論では、本論で述べた内容を踏まえて、改めて自分の意見を主張します。ただし、序論と全く同じ表現にならないよう言い換えるなど工夫が必要です。「以上の理由から〜と考える」「したがって〜である」など、本論の内容を受けた表現で締めくくりましょう。
以下2つの書くテンプレートを示します。
2番目のテンプレートの書き方は、小論文における全ての書き方ではないので、書き方の一つとして、練習しながら他の構成も身につけましょう。
大枠のテンプレート(どの書く型にも当てはまる)
序論:
本論:
結論:
テンプレートの一例
結論:
理由:
具体例または詳細説明:
再度結論:
他の書く型の基本は、以下の記事を参照
解答例1(800字以内)
問題:高校での制服の是非について、あなたの考えを述べなさい。
テンプレート
結論:高校での制服着用に賛成
理由:生徒の成長過程においても良い側面があると考えるから
具体例または詳細説明:
生徒間の経済格差を視覚的に軽減でき、帰属意識の醸成にもつながる、毎朝何を着るか考える時間が省けるため、学業に集中しやすい、一方、制服は個性の抑制につながるという見方、しかし自主性を育むことは私服で何を着るのかという狭義な範囲で決まるものではない
再度結論:
制服は経済格差の視覚的軽減、所属意識の醸成、実用性という複合的な利点から高校での制服着用は維持すべき
【解答例】
私は高校での制服着用に賛成である。制服は教育環境において重要な役割を果たすだけでなく、生徒の成長過程においても良い側面があると考えるからだ。制服の最大の利点は、生徒間の経済格差を視覚的に軽減できる点にある。私服であれば、家庭の経済状況によって着られる服の質や流行に差が生じ、それがいじめや疎外感の原因になることがある。実際に、私服登校を採用している学校では、ブランド品を着用できる生徒とそうでない生徒の間に見えない壁ができるケースが報告されている。
また、制服は所属意識や一体感を育む効果がある。同じ服装をすることで、「この学校の一員である」という自覚が生まれ、校風の維持や規律の向上にもつながる。さらに、毎朝何を着るか考える時間が省けるため、学業に集中しやすくなるという実用的なメリットもある。私服にこだわって本来の学業や学校行事に集中できなければ、自主性を育む阻害要因となり本末転倒だろう。
一方で、制服は個性の抑制につながるという見方もあり、自分でどの服を着ていくのかという自主性を失わせるという指摘もある。しかし、現代の多くの学校では制服のアレンジを一定範囲で認めており、完全に個性を否定するものではない。そして自主性を育むことは私服で何を着るのかという狭義な範囲で決まるものではなく、生徒会など学校の活動全般で、その運営を生徒に任せるなど主体性を育む機会はいくらでもある。むしろ制服を着ることは、限られた条件の中で自己表現する工夫を学ぶ機会になると捉えることができるだろう。
このように、制服は経済格差の視覚的軽減、所属意識の醸成、実用性という複合的な利点があり、高校生の健全な学校生活を支える重要な要素になっている。したがって、高校での制服着用は維持すべきだと考える。(737字)
解答例2(800字以内)
問題:SNSの利用年齢制限について、あなたの考えを述べなさい。
テンプレート
結論:SNSの利用年齢を法的に制限すべき
理由:
SNSの過度な利用は、未成熟な青少年の心身に様々な悪影響を及ぼすから
具体例または詳細説明:
15歳未満の子どもは、情報の真偽を見極める能力や自己コントロール能力が十分に発達していないため、有害情報への接触やSNS依存のリスクが高い
再度結論:
SNSの利用には適切な年齢制限を設けてリスク低減を図るべき、同時に、情報社会を生きる力を養う教育の充実と年齢に応じた教育プログラムの策定が不可欠
【解答例】
SNSの利用年齢を法的に制限すべきだと考える。現状では多くのSNSが13歳以上という緩やかな自主規制を設けているが、青少年の健全な発達を守るためには、より厳格な制限が必要である。SNSの過度な利用は、未成熟な青少年の心身に様々な悪影響を及ぼす。特に15歳未満の子どもは、情報の真偽を見極める能力や自己コントロール能力が十分に発達していないため、有害情報への接触やSNS依存のリスクが高い。実際、民間機関の調査によれば、SNSを長時間利用する中学生は学力低下や睡眠不足の傾向が顕著であるという結果が出ている。
また、SNS上でのいじめや個人情報の流出など、若年層が被害者となるトラブルが増加している点も看過できない。未成年者は将来的な影響を十分に考慮せずに投稿してしまうことが多く、それが後々の人間関係や進学・就職に悪影響を及ぼすケースも少なく、一旦インターネット上に反映されると完全な取り消しがきかないなど、一生涯にわたって、その投稿者や被害者などに悪影響を及ぼしかねない。
確かに、SNSは情報収集や交流の手段として有用であり、完全な禁止は現実的ではないという意見もある。そして、むしろ小学生などのうちから積極的にSNSの利用教育を行い、メディアリテラシーを身に付けさせるべきだとの指摘もある。しかし、子どもの発達段階に応じて段階的に利用を認めていく方式や、教育機関と連携した情報モラル教育と併用することで、メリットを活かしながらリスクを軽減することは可能だろう。
以上のことから、若年層の健全な成長環境を確保するため、SNSの利用には適切な年齢制限を設けてリスク低減を図るべきである。同時に、情報社会を生きる力を養う教育の充実と年齢に応じた教育プログラムの策定が不可欠だと考える。
(721字)
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