「書けなきゃ書けないでいいじゃん!」「内容で勝負だ!」などと考えている人もいるかもしれません。
もちろん内容が良いことは大前提なのですが、字数不足に対する採点というのは案外厳しくなっています。
そこで、この記事では文字数が足りないときの具体的な増やし方について見ていきます。
反対に多く書きすぎたというときの字数の減らし方についてもまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
小論文の字数不足に対する採点は厳しい
ここでは小論文の文字数に対する採点基準がどのようなものか見ていきます。
これは受験生が考えている以上に厳しく評価されるので、しっかり見ていきましょう。
指定文字数に対する評価の基準
前に小論文の採点基準の記事でも触れましたが、字数不足に対する採点というのは受験生が考えている以上に厳しいものです。
まず指定文字数の9割は書くようにしましょう。
これは大学入試、就職・昇進試験の小論文に共通するルールです。
時間と文字数が限られた中で、どれだけの内容を書けるのかが見られているので、内容はもちろん書く文字数も指定された文字数の9割以上、10割以下で書きます。
指定文字数を1字でも超える字数オーバーは、大幅減点や採点対象外になる恐れがあります。
一方、最低ラインである指定文字数の8割は超えるようにしてください。
採点を担当するある大学教授の話でも「小論文は9割以上の文字数を書いて欲しい」と聞いたことがあるように、8割を下回ってしまうと「書く文字数の最低ラインを満たしていない」となるので、書く文字数は常に意識しましょう。
あわせて読みたい
原稿用紙に書く目安
例えば「800字以下で書きなさい」となったとき、一般的な20×20=400字原稿用紙であれば800字の9割である720字を書くので、80字分空欄にして良いことになります。
これを一般的な20×20=400字原稿用紙にあてはめると、2枚目の最後の4行は空欄にしても良い計算になります。
ただし、試験の原稿用紙の書式は、一般的な原稿用紙の書式とは限らないので一概に言えませんが、原稿用紙の行数が多いほど、空欄にできる行数が増え、原稿用紙の行数が少ないほど、空欄に出来る行数は少なくなります。
それに試験の原稿用紙には「ここまで〇〇字」というように目安が書いてあることが多いので、どの書式の原稿用紙でも、指定文字数の9割の文字数を超えて1,2行は書くようにしましょう。
小論文の字数が足りないからとやってはいけないこと
そうはいっても、「やっぱり小論文の書く字数が足りなくなる!」「じゃあ、ともかく増やせばいいのか」となりがちですが、やみくもに文字数を増やそうとするとかえって減点されることになります。
ここでは小論文の文字数の増やし方の前に、文字数を増やすときに絶対やってはいけないことについて見ていきます。
回りくどく書く
多くの人がよくやりがちですが、回りくどい言い方で書いて文字数を稼ごうとする方法です。
【ダメな例】
小論文を書くときに、多くの人が文字数を稼ぐために、いわゆる回りくどい言い方で書いて文字数を増やそうとする。
【良い例】
小論文では文字数稼ぎのために、多くの人が回りくどい言い方で書こうとする。
小説ならば回りくどい言い方などは、適度に読者をじらす効果をもたらし、「次はどうなるのだろう」という気持ちが起きますが、小論文ではじらすどころか採点者をイライラさせます。
このように回りくどい言い方は、採点者をイライラさせ、「的確な文章表現の力に欠ける」と見なされるので避けましょう。
必要のない余計な接続詞を書く
接続詞は文と文をつなげる上で、書くと分かりやすくなりますが、接続詞が無くても伝わるところではむしろ省いた方が文章として分かりやすくなります。
そのつど接続詞を使う英語などと違い、日本語はこの接続詞を省略しても伝わるところがあるのが便利なところで、伝わりやすい分かりやすい文章を心がけましょう。
【ダメな例】
必要でない接続詞は書くべきではない。なぜなら、日本語は接続詞が無くても伝わるところでは、むしろ省いた方が文章として分かりやすくなるからだ。
【良い例】
日本語は接続詞が無くても伝わる箇所は、むしろ省いた方が文章として分かりやすくなるので、不要な接続詞は書くべきではない。
上記の例のように、不要な接続詞を書かないためには、言葉の語順や表現を変えてみます。
不要な改行を行う
文章の途中で改行して、書くマス目を減らそうとすることです。
マス目の2、3文字目で一文が終わり、まだ話の途中でも改行をしたとします。これで見た目の上では、その行の空白は文字数としてカウントされるので、ある意味一番手っ取り早い文字数稼ぎになります。
【ダメな例】
不要な改行をするべきではない。
なぜなら、採点者によってすぐに判明してしまい減点対象になるからだ。
【良い例】
不要な改行をするべきではない。なぜなら、採点者によってすぐに判明してしまい減点対象になるからだ。
しかし、こういう姑息な文字数稼ぎをしても採点者にはすぐにバレてしまいます。
大学教授や企業の担当者は、その道のプロです。「不要なところで改行を行い文字数を稼ごうとしている」と見抜かれて大幅に減点されかねません。
必要もなく改行をして、かえってムダな減点をされないためにも、不要な改行は避けましょう。
同じことを繰り返し書く
同じ言葉を繰り返して書くのも、採点者には良い印象を与えません。
小論文は分かりやすく読みやすい文章を書くことが基本であり、何度も繰り返すことは、この基本に反しています。
また、同じことを繰り返して書くのは、採点者をイライラさせ、読む方の理解を妨げる原因になります。
【ダメな例】
この見出しの内容は、理解促進のために何度も同じことを何度も繰り返し書いているが、実際に小論文を書くときには、何度も同じ言葉を繰り返さないように書くこと。
【良い例】
この見出しの内容は、理解促進のために何度も同じ言葉を繰り返しているが、実際に小論文を書くときは言い方を変えたり、視点を変えたりして同じ言葉を繰り返すことは必要最小限に止めること。
このように「繰り返す=丁寧」ではなく、「繰り返す=小論文ではムダ」と考えましょう。
小説や講演などでも、何度も繰り返して同じことを言うときには言葉を変えたり言い方を変えたりするように、繰り返して言うことがあるときは、表現を変えたり視点を変えて書くようにします。
そして小論文では繰り返して書くことは、必要最小限に止めましょう。
小論文の文字数の増やし方【4つの方法】
いよいよ、具体的な文字数の増やし方について見ていきます。以下4つの視点で書いていけば、文字数はあっという間に増えるのでしっかり見ていきましょう。
➀ 具体例を挙げる
まず、あまり文字数が書けていない答案に共通することは、この具体例が挙げられていないことが多いです。
何かを考えるときに「例えば」で始まる具体例に乏しいということが挙げられます。
問題を読んで、問題に書かれておらず関係のありそうな自分の知っていること、経験などを挙げてみましょう。
また、問題や設問では軽くしか触れられていないことを、「例えば」からの具体例を挙げて考えながら書いてみます。
そこから「つまり、その例から何が言えるのか?」という思考の深まりにもつながり、実際の書く行為にもつながるでしょう。
② 資料・データの内容を掘り下げる
問題で資料やデータが提示されていれば、その背景も含めて考えてみます。
統計やグラフがあれば、右肩上がりなのか、右肩下がりなのか、あるいは横ばいなのかを見てみます。
そしてグラフや数値が急激に変化しているところを中心に「なぜ、そうなっているのか?」考えてみましょう。
そして、その資料やデータの背景やそこから読み取れる社会問題を考えられるようになるとなお良いです。
そのデータや数値を単に「ふーん、そうなんだ」で読まずに、「なぜそうなっているのか?」「この背景にはどのようなことがあるのか?」などを考えながら読み取って書いていきましょう。
③ 反対意見などの異論を取り入れる
これも小論文の基本で、手っ取り早く文字数を増やす方法です。
「確かに〇〇」などと、自分とは異なる意見を挙げて、その範論にまず理解を示し、それでも「なぜ自分の意見が、その異なる意見よりも有効なのか」を根拠を挙げて示します。
この異論は必ずしも自分と反対の意見とは限らず、視点の違いや見解の違いなどの異論あるので、賛否を答える以外の問題でも使える時があります。
ただし、問題や書き方によって異論を入れる余地がない、必要のない場合もあるので、そこは問題や書き方によって臨機応変に対応しましょう。
④ 視点を変える
自分は今「〇〇」の視点から書いているけど、「別の視点はないのか?」「別の背景や問題の要因はないのか?」と考えて書くことです。
こうすることで問題を多角的に考えられるようになり、結果的に文字数の増加にもつながります。
文字数の減らし方【3つの方法】
ここでは反対に文字数を書きすぎた場合の減らし方について見ていきます。
文字数の採点は、字数が足りないよりも字数オーバーの方が1字でも指定文字数を超えると大幅減点なので、詳しく見ていきましょう。
➀ 同じ言葉は略語で書く
小論文は正式名称で書くことが基本ですが、同じ言葉を2回目以降に使うときは、前もって伝えることで省略して書くことができます。
例
国際連合(以下国連)は、第2次大戦後の1945年10月に設立され、国際社会の平和と安定に貢献してきた。
新聞や他の文章でも使われる表現で、もちろん小論文で取り入れても問題ありません。
② 言葉を置き換える
同じ意味で短く表現できる言葉がないか探してみましょう。
例
非常に意志が強い → 強固な意志
異なる考え → 異論
例えば「姑息な」=「ずるい・卑怯な」、「煮詰まる」=「議論に行き詰まる」ではないので、本来の意味と異なる使われ方をしている言葉には気をつけましょう。
それぞれ「姑息な」=「一時しのぎ」、「煮詰まる」=「十分に議論をして結論が出る状態」というのが本来の意味なので、曖昧な理解の場合は言葉の置き換えはやめて、別の個所で文字数を減らすことができないか見てみましょう。
③ 文章ごと書き直すのは時間的に無理
書きすぎた場合、一番やってしまいがちなことが字数オーバーした文章丸々を削除してしまうことです。
確かに字数オーバーしたところをカットして、字数内に収まった内容が途中で切れたり、辻褄が合わなくなったりしない限り可能です。
しかし、文章ごとカットして、字数内に収まった文章の言葉や表現を変えて指定の文字数以内に最後の句点「。」が入るように調整しているうちに多くの場合、時間切れになります。
未完成のまま時間切れになれば、「未完成の答案」か「字数オーバー」扱いされて、大幅な減点は避けられないでしょう。
こうならないために、アウトラインを作ってから原稿用紙に書く前に、どのようなことをどのくらい書くのかということを、決めて段落ごとに原稿用紙の上に薄く印をつけておきます。
そして、書いていく間にも段落ごとに、最初から文章を黙読して、文章のつながりがおかしくないか、文字数が不足しそうか、あるいはオーバーしそうかなどを推測しながら書いていくと大幅な修正をせずに、時間通りに書ける可能性が高まります。
したがって、文章ごと書き直すことは想定しないで、万一や無負えない場合のみ、文章の修正を行うようにしましょう。
コメント